くみ : 個人的に面白いと思ったのは、ロックダウンが始まった頃、隣国ドイツで「感染予防のため恋人は1人に絞るように」というのが出されなかった?フランスでは見なかったけど。そんなプライベートまで言及するのは面白いなと思った。
ただ、それまでに恋人がいた人であっても、いちばん厳しいロックダウンのときは緊急時を除いて1キロ圏内しか移動が許されなかったから会うのも難しかったんじゃないかと思うし、逆に近場で求める人も増えたのかもしれないと思った。
ロックダウン中に近所のスーパーに必需品の買い物に出かけたとき、昼間でもひっそり静まりかえった通りで声をかけられたことが2回あって驚いた。普段は声なんて絶対かけられない通りなんだけど……。
厳しいロックダウン後に増えた離婚率
エマニュエル : 夫婦関係においても変化はみられる。前までは、夫婦がずっと一緒に過ごすのなんて老後が始まってからだろうと思っていたのが、20年も30年も早くそんな状況になったわけだからね。このことで夫婦の絆がより強固になったという場合もあるけれど、もちろん逆の場合もある。多分これはフランスだけではないと思うんだけど、2020年は離婚率が平年よりも増加した。特に厳格だった1回目のロックダウンは、夫婦の関係に大きな影響を与えた。普段であったら見過ごせたような些細なことが、ストレスで抑えられなくなり夫婦仲に修復しようのない亀裂が入ってしまったんだ。
結果として、2020年5月後半期には、前年同時期よりも25%も離婚が増加したそうだ。離婚理由としては、「もう耐えられない」「浮気していたのがばれた」「もう特に話すことも共有することもないことがわかった」というのが多い。イギリスでも同様に、2020年の7月から10月における離婚件数が前年よりも122件も増加したそうだよ。
くみ : そうやって数字で示されるとやっぱりコロナは生活様式を変えてしまったと言えるね。フランスはだいぶ戻ってきてる気はするけど、今後どうなっていくのか引き続き注意が必要だね。
エマニュエル : 多分コロナの状況にかかわらず、テレワークによる社会の変化の大部分はこのまま続いていくだろうね。フランス人もすっかりテレワークに慣れたし、社会におけるテレワークの受け入れられ方もすっかり以前とは変わってしまったから。そしてフランスの社会全体もこうやって見てきたように変わりつつある。僕が思うに、これはなんだか静かなビッグバンって感じだよ。
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