コロナ禍収束後に行きたい「アフリカの歩き方」 椿進×唐渡千紗「いるだけで元気がもらえる!」

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椿:支払いも簡単だし、履歴も残る。お釣りもごまかされないし(笑)。そういえば、あれ手数料はいくらなの?

唐渡:今年の9月から0.5%チャージされるようになりました。

椿:それでも日本より安い。日本は2.5~2.7%でしょ。加盟店にすれば、2.7%利益取られるのと同じだもん。世界はだいたい0.5%か0.6%。WeChatペイも0.6%。だから日本では普及しないんだよ。既得権益残した上に乗せているから、こんなことになる。ブランド多すぎるしね。モバイルマネーは、よっぽどアフリカのほうが進んでいる。

椿:レストランを経営されていて、1つ聞きたかったのは、従業員からマネージャーが育ってくるか、ということです。

唐渡:それはすごく難しいところなんですよね。アジアンキッチンも、2人目の子どもを出産するときに半年間、日本に戻っていたんですが、マネージャーはいませんでした。今回の帰国でもそうです。

ルワンダ人って、横並び意識があるというか。1人だけ昇格させるのが難しい。

椿:経営しているナッツ農園も300人くらい従業員がいるけど、マネージャーが出てこない。まぁでも唐渡さんの場合は、レストランに行ったことがないルワンダ人を育てたんだから、すごい。

唐渡:レストランでサービスを受けたことがないスタッフに教えるのは、たしかに大変でした。サービスを提供するとはどういうことか、実際に見せて、「ほらね、こうやったらお客さん、喜んだでしょ」というのを体感として積み上げていくしかなかったです。最初、スタッフは「話しかけるのは失礼だと思っていました」と言って、ずっと注文を取りに行かないわけです。いやいや、そうしたら、どうやってお客さんがオーダーできるのか、と(笑)。

椿:来たらすぐにメニューを出すとか、料理を早く出すとか、笑顔で接客するとか、そういう感覚がまるでなかったんだから。そもそも、時間どおりに来る、というのもないしね。

新型コロナが収束したらルワンダに行きたいと思っている人に、何かアドバイスはある?

「アマクル」:覚えておきたいルワンダ語

唐渡:現地の言葉を話すと、ルワンダの人はめちゃめちゃ喜んでくれますよね。私の本にもいくつか載せましたけど、「こんにちは」を意味する「アマクル」って言うだけで、「えー!」みたいな感じですから。「ルワンダ語、しゃべれるじゃないか!」って喜んでくれて、ブワーッとルワンダ語で話しかけられて、「いや、そこまでわかんない!」となるんですけど(笑)。

『ルワンダでタイ料理屋をひらく』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトへジャンプします)

椿:逆に、これは世界どこでも同じだけど、過剰に愛想がよかったり、日本語がしゃべれたりすると怪しいよね。気をつけないといけない。

唐渡:ルワンダには、ほとんどいないですけどね。おとなしい人が多いし。新型コロナが収束したら、ぜひ一度、来てほしいです。百聞は一見にしかず、で。いい意味で期待を裏切られると思います。アジアンキッチンにも寄ってほしい。

そうそう、日本に久しぶりに戻って感じたのは、アフリカは若い、ということです。60歳以上の人なんて、本当に目立ちますよね。国全体が上昇している感じ、右肩上がりの雰囲気はすごく感じられます。いるだけで元気がもらえる。

椿:ほんと、そう思う。一度、必ずアフリカは見ておくべきでしょう。そうしたら、絶対に人に勧めたくなりますから(笑)。

(構成:上阪 徹)

椿 進 AAIC代表パートナー

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つばき すすむ / Susumu Tsubaki

Asia Africa Investment and Consulting(AAIC)代表パートナーを務めるアジア・アフリカビジネスのスペシャリスト。東京大学教養学部卒業。ボストン コンサルティング グループ(BCG)のパートナー・マネージングダイレクターとして、事業戦略、M&A戦略のプロジェクトを実施。2008年に現AAICを創業し、代表パートナーに就任。中国・東南アジア・インド・中東・アフリカ等で、新規事業育成、市場参入支援等をコンサルティングと投資を通じて実施。日本初のアフリカ・ファンドも運用。ルワンダではマカデミアナッツ農園も手がけている。執筆、講演多数。ビジネス・ブレークスルー(BBT)大学大学院教授として後進の育成にも力を注いでいる。

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唐渡 千紗 ルワンダのタイ料理屋「ASIAN KITCHEN」店主

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からと ちさ / Chisa Karato

1984年生まれ・東京都出身。早稲田大学法学部卒業後、株式会社リクルートに就職、人材事業に従事。30歳で退職し、当時5歳の息子を連れてルワンダへ移住。日本とは全く異なる環境であるルワンダで、ゼロからタイ料理屋「ASIAN KITCHEN」を立ち上げ、経営に奮闘している。

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