総裁選「岸田・河野氏の話し方」大解剖、ここが問題 2人から「国民の心に刺さる言葉」は出るのか

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殺伐とした時代に、「ぬくもりのある社会を作りたい」という方向性はいいのですが、いかんせん言葉が非常に抽象的で、かなり「ポエム」感が強い印象です。もっと具体的に、「イメージのわく施策」や「ビジョンを魅力的に伝える工夫」が必要でしょう。

Twitterなどでの「瞬発力」「コメント力」なども強みですが、一方で、「記者会見などでの応答がぶっきらぼうに聞こえる」という点でも改良が求められます

質疑応答の答えが、非常に短く、突き放したように取られがち。「質問はなるべく多くの方に答えていただきたいので、複数の質問をしないで」というお願いの仕方も、冷たい感じがしました。

「怜悧に仕事をこなす」という側面の一方で、「人間的温かさ」「親しみやすさ」もアピールしていくことも必要なはずです。

候補者の「話す力」「説得する力」が勝敗を左右する

コロナ禍という未曽有の危機にあって、リーダーに求められるのは、国民の心に寄り添う高い「コミュ力」です。

『日本経済新聞』の世論調査では、新総裁に求める資質のナンバー1として挙がったのは、「国民への説明能力がある」(51%)で、「指導力がある」(49%)を上回りました。いかに、「国民が心に刺さるメッセージに飢えているか」ということを示しています。

そういった意味では、このお二人の説明能力はまだまだ発展途上。特に、「自民党をぶっ壊す」といったインパクトのあるキーメッセージ、「心に残る一言」がないというのも非常に残念です。

今回の総裁選は、派閥や党利党略といったものより、それぞれの候補者の「話す力」「説得する力」の戦いになりそうな様相です。「コミュ力戦争」の行方はどうなるのか。目が離せそうにありません。

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