インドにおける20世紀最大の人災を挙げるとすれば、それは水問題でしょう。インドの水危機は人が起こしたものだからです。
インドは水資源が乏しい国ではありません。世界的にみれば豊富な雨量に恵まれているのですが、なぜかインドは水不足に見舞われています。貴重さにおいて水は金(きん)に匹敵すると言っても過言ではないでしょう。さらに今後、人口増加とライフスタイルの変化が進めば水資源はいっそう逼迫するでしょう。インドは早急に適切な対策をとらなければ、近い将来、水の安全保障で深刻な問題に直面することになります。
雨水貯水量はわずか30日分
インドは1年のうち5~6カ月は降雨に恵まれるので、極端に乾燥しているというわけではありません。年平均降水量はラジャスタン州の砂漠地帯のように100ミリメートルにとどまる地域もありますが、一方でメガラヤ州チェラプンジのような世界でも最高水準の多雨都市もあり、全国で平均すれば約1100ミリメートルもあります。ちなみに日本は約1700ミリメートルです。
ところがインドは、ダムや貯水池の利点について無頓着だったため、インフラが整備されず、雨水の有効利用ができていません。先進国では乾燥地域の河川流域でも約900日分を蓄えているのに、インドの雨水貯水量はわずか30日分にとどまります。
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