外国人投資家は日本株を本当に買ってくるのか 景色は一変、マーケットは選挙が大好き?

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8月31日発表の国家統計局8月の製造業PMI(購買担当者景気指数)は前月比0.3ポイント低下の50.1と、5カ連続の悪化。非製造業PMIに至っては同5.5ポイント低下の47.5と、2020年2月以来の50割れとなった。だが、上海総合指数、香港ハンセン指数はともに上昇していた。

その後、9月1日に発表された8月財新製造業PMIは49.2と、7月の50.3から低下。景況の分岐点である50割れは昨年4月以来となった。だが、上海総合0.65%高、香港ハンセン0.5%高と、両指数とも堅調な動きだった。

コロナショック後、急速に回復した中国経済も若干の中だるみを見せていたが、おそらく市場は「そろそろ底打ちする」と判断しているものと思われる。

移動平均は何を語っているのか

再び日本株に話を戻すと、日経平均の変化の予兆は8月26日にあった。買い材料がまったくない中で、ついに25日移動平均線が上向いたからだ(終値は2万7741円)。

この時点では、株価が中期・長期移動平均線の代表である75、200日移動平均線を突破するのは、かなり厳しいと思われていた。しかし、8月31日にはなんと、11カ月連続で続いていた「月末株安」のアノマリーがついに破られた。

75日移動平均線の向きも上向きに転じただけでなく、3連続高となった9月1日には、株価はいとも簡単に75日・200日線を突破した。この間の「ダウ3連続安時の日経平均3連続高」も最近にない現象で、「何かが変わった」と感じた投資家も多かったはずだ。

さらに、この移動平均の動きも面白い現象を示した。先週は緩やかに下落して横向きになっていた75日線と、上昇する200日線とのデッドクロス(より短い移動平均線がより長い移動平均線を上から下に突き抜けること)が実現しそうな形で動いていた。

その後、75日線が反転上昇に移ったため、デッドクロスは免れるかに見えた。しかし75日線に勢いがあるのにもかかわらず、先週末の日経平均584円高、5連騰の中で、75日と200日線はわずかながらデッドクロスした。

それは長期線(200日)の上昇角度が高かったからだ。75、200日線の向きがともに上向きになり、その中で長期線が中期線を突き抜けるという滅多にないことが実現した。これは、相場が本格的に上昇に転じた象徴ではないか。ついに何かが大きく変わり出した。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

平野 憲一 ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト

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ひらの けんいち

日本証券アナリスト協会検定会員。株一筋約45年。歴史を今に生かすことのできる「貴重なストラテジスト」として、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌への出演や寄稿記事多数。的確な予想で知られ、個人投資家の間には熱烈な「平野ファン」がいることでも有名。1970年に立花証券入社以来、個人営業、法人営業、株ディーラーを経て、2000年情報企画部長マーケットアナリストとして、投資家や各メディアに対してマーケット情報発信をスタート。2006年執行役員、2012年顧問就任。2014年に個人事務所ケイ・アセット代表。独立後も、丁寧でわかりやすい解説を目指す。

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