コロナ対策で本当に必要なのは「実践」できる人材 「戦術レベル」で実行できる人は意外に少ない訳

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世界エイズ・結核・マラリア対策基金の戦略・投資・効果局長として、世界各国を飛び回る國井修氏。コロナ対策の現状と展望をどう捉えているのだろうか(写真:ロドリゴ・レイズ・マリン/ズマ・プレス/ブルームバーグ)
世界エイズ・結核・マラリア対策基金(グローバルファンド)は、三大感染症対策を中心に中・低所得国に資金を提供する国際機関で、2002年にスイスに創設され、4400万人の人命を救ってきた。
同基金の戦略・投資・効果局長として世界各国を飛び回る國井修氏は、コロナ対策の現状と展望をどう考えているのか。
日本政府とWHOで感染症危機管理オペレーションの立ち上げと実行を経験した唯一の日本人、阿部圭史氏の新刊『感染症の国家戦略 日本の安全保障と危機管理』を読み解きつつ、分析する。

「感染症危機管理」という日本初の試み

戦争は究極の国家の危機であり、過去の戦争の研究から世界は多くの危機管理の術(すべ)を学んできた。特に孫子の「兵法」やクラウゼヴィッツの「戦争論」は、国家の危機管理のみならず、会社経営や組織運営などにも応用できる知恵が詰まっている。

『感染症の国家戦略 日本の安全保障と危機管理』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

軍事における経験・知恵、そこから導かれた原理・原則は、感染症危機管理にも参考になる。新たな感染症という「未知なる敵」との闘い。その闘いの中で生じる「霧」や「摩擦」。平時の準備(プリペアドネス)の重要性とその中でのヒト、カネ、モノ、そして法の役割。危機時の対応(リスポンス)における指揮統制、インシデント・コマンド・システム、戦略・作戦・戦術の3階層の計画・実施、さらにその上位の大戦略レベルのリーダーシップ・判断の重要性。数えればきりがない。

この軍事における教義(ドクトリン)、それに基づいた教範(マニュアル)を、それと比較しながら感染症危機管理で作ろうとの日本初の試みが、阿部圭史氏が上梓した『感染症の国家戦略』である。感染症危機管理の基本的な思想や原則、目的を明確化し、危機の特性やそれに向かう姿勢、平時の準備、危機時の対応、さらに外交の重要性などについて、さまざまな具体例やケーススタディを示しながら、包括的かつ体系的にまとめた大作である。

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