2人の交際は順調で、4月後半には真剣交際に入った。そして、そこから2カ月後には、智宏がプロポーズをし、佳奈がそれを受けた。
智宏は、2人の付き合いを、こう振り返る。
「佳奈さんは、いい意味でステレオタイプの女性じゃない。そこが一緒にいて楽しい。週末にテーマパークに遊びに行くことになっていたら、その日が大雨だったんですね。『どうする?』って聞いたら、『雨の中で遊ぶのもいいんじゃない?』って。それで、2人で雨具を着て完全防備して、大雨の中で遊んだんですよ。それが楽しかった。お昼は、お弁当を手作りしてきてくれて。それもおいしかったし、うれしかった」
また、こんなデートも印象的だったという。ダムに行ったときのことだ。
「最大級って、どのくらいあるのか、ダムを一周しようよ」
そう言って2人で、お昼を過ぎた頃から歩き出した。
「最初は楽しく話しながら歩いていたんですが、思ったよりも広くて、1周するのに4時間くらいかかってしまった。最後は、お互いに無言になって、もうひたすら歩きました。でも、無言の時間も嫌じゃなかったんですよね」
プロポーズは、6月吉日だった。智宏は、シンプルな真珠のピアスと11本の薔薇の花束を贈った。薔薇は、本数で花言葉が違い、11本の薔薇の花言葉は、“最愛“。
「ピアスにしたのは、佳奈さんが、『私は、仕事柄石の入っている指輪はできないし、高価な宝石はもったいなくて身につけられない』と言っていたからなんですね」
会社から「退職勧告」をされた
こうして6月末日を持って、無事成婚退会する運びとなっていたのだが、6月の後半になったある日、佳奈から私にLINEが入ってきた。
「今智宏さんから連絡があって、会社から退職勧告をされたというんです。新しい仕事を探すまでは、結婚どころではなくなってしまいました。ただ、これで結婚をやめようとは思っていないし、こんなときだからこそ、彼の支えになってあげたいです」
そこにつづられていたのは、力強い言葉だった。コロナ禍での会社の経営不振と彼の業績不振が重なって、退職勧告につながったようだ。そこで、私は、こう返信した。
「わかりました。6月の成婚退会は、延期しましょう。智宏さんの再就職が決まって、2人が晴れて結婚に向かえるようになるまで、2人のサイトは休会にしておくので、私の会員でいてください」
すると、そこから1カ月も経たないうちに、智宏から「再就職が決まりました」という連絡がきた。33歳という年齢と、これまでの職歴が認められ、思いのほか早く次の仕事が見つかったようだ。そして、晴れて7月末日、2人は成婚退会をしていった。
結婚の報告にきた2人は、とても幸せそうだった。智宏は、私に言った。
「『思いやりがない』と言われるようなことが二度とないように、ちゃんと佳奈さんの気持ちを見ていきながら、感謝を忘れずに毎日を過ごしていきます」
結婚指輪は、2人で鎌倉の工房に行って、手作りをするという。なんだかそれも2人らしくて微笑ましく感じた。
本当におめでとうございます! お似合いの2人。お幸せにね!!
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