産業リサーチ(保険) 再編急進展の損保、生保は株安に苦しむ

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損保業界は保険料率の自由化を背景に、急速に再編が進んだ。
 業界トップは東京海上火災である。2002年4月に中堅の日動火災海上と持ち株会社ミレアホールディングスを設立して統合。東京海上は今年2月には日新火災海上の持ち株を約3分の1取得することを決めた。2004年10月には東京海上と日動火災が合併する。2位は安田火災海上と日産火災海上とが合併して誕生した損保ジャパン。破綻した大成火災も吸収した。
 3位は三井住友海上火災。2001年10月に三井海上火災と住友海上火災が合併した。
 保険料収入(売上高)では4位があいおい損保だ。大東京火災海上と千代田火災海上が合併。トヨタ色を強めている。5位が日本興亜損保。日本火災海上と興亜火災海上が合併。ニッセイ同和損保は同和火災海上と日本生命の損保子会社が合併し、ニッセイの傘下に入ったもの。富士火災は世界の損保の雄・AIGとオリックスが資本参加した。
 生保トップは日本生命で総資産は実に45兆円。多くの企業で大株主の地位にある。三井住友銀行、UFJ銀行と親しいが、銀行グループとは一線を画す。
 2位は第一生命。損保ジャパンと提携して商品を相互供給。ガン保険ではアメリカンファミリーの商品を扱う。98年に旧日本興業銀行と提携したため、みずほFGとの関係が深まった。
 3位は住友生命。三井住友銀行の筆頭株主。三井生命と三井住友海上含め4社で業務提携している。
 4位の明治生命は三菱系だが、旧富士銀行との関係が深くみずほと親しい安田生命と2004年1月に合併予定だ。大手生保の合併は、コストがかかるうえ商圏の重複が懸念され、難しいと言われてきた。成否に注目したい。
 朝日生命は旧第一勧銀との関係からみずほFGとの関係が深い。朝日生命は東京海上を盟主とするミレア入りを計画していたが、財務悪化のため、自力再建に専念しミレアから離脱した。
 大同生命は2002年4月に生保で初めて上場。2003年4月に太陽生命が上場し、2004年に両社は持ち株会社で統合を計画している。
 大手生保は銀行株を多く保有しており、銀行株の下落が収益と資産内容を一層悪化させている。三井住友銀行は住友生命、三井生命と資本の持ち合い関係にある。朝日生命に対してはみずほグループとりそな銀行が出資している。

(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部

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