読売新聞オンラインによると、10代の感染が急増したのは6月後半からで、6月20~26日の1週間の感染者は前週の1.7倍となっている。国立感染症研究所の推計で、デルタ株が東京、埼玉、千葉、神奈川で30%程度に達した頃だ(6月28日時点)。
6月11日時点の国立感染症研究所の報告では、まだアルファ株(英国型)を中心にベータ株(南アフリカ型)とガンマ株(ブラジル型)の3系統が合わせて9割を占めており、デルタ株は「全体に占める割合は極めて低い」とされていたが、2週間で状況は大きく変わっていた。
さらに直近、8月13日時点の同研究所の推計では、東京都ではデルタ株などがすでに95%を占め、「ほぼ置き換わった」とされている。アメリカ疾病対策センター(CDC)は、デルタ株は「水ぼうそう」に匹敵する感染力の強さとみているようだ(ワシントンポスト、7月29日)。
水ぼうそうウイルスは1人の患者から10人前後にうつる感染力を持ち、デルタ株がこれと同等かどうかについては議論もある(ナショナル・パブリック・ラジオ、8月11日)。それでも、少なくとも陽性者1人から周囲の7人に広がる感染力であることは、異論がないようだ。従来株やインフルエンザは患者1人から1.5~2人にうつる程度だったのと比べれば、4倍前後の強さだ。
現在、最も新規感染者が多いのは20代の男女である。中高年よりも若年層が感染しにくいわけでないのは明らかだ。ナビタスクリニックでも、若者~未成年のPCR陽性者が急増している。先日は、0歳の赤ちゃんもPCR陽性となってしまった。親からの家庭内感染だ。
デルタ株の拡大を実感せざるをえない。
8月下旬から全国各地の小・中学校、高校は、新学期がスタートする。デルタ株の流行拡大も、まさに正念場を迎えると言っていいだろう。
子どもはかかっても症状が軽い?
「子どもはかかっても症状が軽いなら、問題ないのでは?」という親御さんもいるだろう。だが、「軽症」という言葉の響きから、無症状に近いものを想像していないだろうか。
『The Lancet』に掲載された英国キングスカレッジ・ロンドンの調査(8月3日付)によれば、新型コロナに感染して症状が出た子ども1734人について、最も一般的な症状は、頭痛(62.2%)と倦怠感(55.0%)だった。5~11歳児では、次いで発熱、喉の痛み、腹痛、咳と続き、12~17歳児では喉の痛み、嗅覚異常、発熱、咳と続いた。
風邪に似た症状だが、風邪と違って新型コロナはだいぶしつこい。平均で、5〜11歳では5日間、12〜17歳では7日間、症状が消えなかった。決して短いとは言えないし、新型コロナは発症から5日以上たって急変することが多いので楽観できない。
同調査では、一般的な症状の経過として、頭痛、倦怠感、喉の痛みが初期に現れ、倦怠感がそのまま持続、頭痛も続くことがあるとしている。嗅覚異常は、多くは後期にのみ現れる。
全体としては74.5%に発熱、咳、嗅覚異常のいずれか、もしくは複数が見られ、発症から1週間以内に頭痛・倦怠感などと併せて6種類もの症状が重なる子が多かった。これはキツイ。
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