感染急増「子ども」にワクチンを受けさせるべきか SNS上のデマ拡散、黒幕は40億円荒稼ぎの実態

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さらに、新型コロナで特徴的なのは、いわゆる「ロング・コビッド」と呼ばれる後遺症だ。ウイルスが体内から消えて「治った」はずなのに、様々な症状や障害が長く残ったり、後から次々と体に生じたりするケースが後を絶たない。

子どもでも「ロング・コビッド」は起きるのか?

同調査では、4週間以上症状が続くロング・コビッドを経験したのは1734人のうち77人(4.4%)で、どちらかと言えば5~11歳児よりも12~17歳児に多かった。さらに追跡できた1379人のうち1.8%にあたる25人では、8週間以上症状が続いたという。ただし、4週目以降、症状は初期と比べて弱まっていった。

イタリアの研究では、当初の症状の有無によらず、感染判明から60日以上を超えて追跡調査された子どもたちについて、特に不眠症(18.6%)、呼吸器症状(胸部の痛みや圧迫感を含む、14.7%)、鼻づまり(12.4%)、倦怠感(10.8%)、筋肉痛(10.1%)、関節痛(6.9%)、集中力の低下(10.1%)が多く報告されている。

また、『Nature Medicine』に掲載されたノルウェーの調査では、軽症で自宅療養となった16〜30歳の若者でも、52%に半年後もロング・コビッドが確認された。味覚や嗅覚の喪失(28%)、倦怠感(21%)、呼吸困難(13%)、集中力の低下(13%)、記憶障害(11%)などが報告されている。

全体から見れば、子どもではロング・コビッドに陥る割合は小さく、比較的軽症かもしれない。しかし、例えば味覚障害や倦怠感、集中力の低下といった症状の苦痛は、本人にしかわからない。

身体的にも社会生活の上でも成長著しいこの時期に、1カ月以上も症状が続くとしたら……。決して軽くみていいものではないだろう。

12~15歳へのワクチン、副反応と予防効果は?

結論として、私は対象年齢に達したお子さんには接種をおすすめしている。若年層への感染拡大を目の当たりにしていることもあり、ワクチン接種のメリットがリスクを上回ると信じているからだ。

12~15歳を対象としたファイザーのワクチンの臨床試験を確認しておこう。結果は5月27日付の『New England Journal of Medicine』に掲載された。

対象となったのは、健康状態の良い12~15歳の男女2260人で、ランダムに約半数をワクチン群、残り半数をプラセボ(偽薬)群とした。ワクチン群の97%超が2回接種を完了した。

安全性については、接種後に注射部位の痛み(79〜86%)や倦怠感(60〜66%)、頭痛(55〜65%)、寒気などが見られたが、大半は軽いか中程度の症状だった。38℃以上の発熱は、1回目接種後の10%、2回目接種後の20%に見られた。全身症状は2回目接種後のほうが多かったものの、いずれの症状も通常1~2日で回復した。

重い症状としては、14歳の少年に1回目接種後40℃超の発熱が見られた以外、アナフィラキシーや血栓症などは報告されていない。

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