Facebookを筆頭とするSNSプラットフォーム企業に対し、反ワクチン業界が有料広告などを通じてもたらす価値は最大11億ドルに上るという。その源泉は、誤情報に基づくフォロワーの誤った消費行動であり、フォロワーの被害の上に成り立っていると言ってよい。
今年3月には、アメリカ12州の司法長官がFacebookとTwitterに対し、新型コロナワクチンに関する誤情報への規制を強化するよう求めた(CNBC)。さらにホワイトハウスも7月、FacebookとYouTubeにはワクチンに関する誤情報の拡散への責任があり、対策が不十分であると指摘した(ロイター)。
SNS企業側も当然、誤情報の投稿を削除するなどの対抗手段をとってきてはいる。
8月19日にもFacebook(Instagramを含む)が、反ワクチン業界関連の30以上のページやグループ、アカウントを削除あるいは罰金を科したと、ロイターが報じた。
だが、対応は完全に後手に回っていると言わざるをえない。いたちごっこは目に見えている。
ワクチンを遠ざければ、感染のリスクは格段に上がる
SNSが怖いのは、発信者やシェア元が“知り合い”や“友達”であることだ。それは現実社会でのリアルな知人友人にとどまらない。インターネットでつながった人たち――いわゆるインフルエンサーや、同じ思想や志向等を共有する見知らぬ者同士のこともある。
自らが一方的に支持したり尊敬や憧れを抱いている相手や、心理的距離の近いネット仲間の言葉のほうが、互いに関心の薄い現実の知り合いよりむしろ影響を受けやすかったりするものだ。
ワクチンについて不安をあおるような情報が、身近な人から回ってくるかもしれない。どうか鵜吞みにせずにいったん立ち止まって考えてみてほしい。誤情報に踊らされ、加担させられないよう、冷静に判断していただきたい。
今ワクチンを遠ざければ、感染のリスクは格段に上がる。感染すれば、症状の出ていない子どもであってもウイルスを広める側になってしまう。まだ接種の受けられない幼い弟や妹に、家庭内で感染させる可能性も高い。
社会全体を危険にさらし、直接あるいは巡り巡って大切な人まで傷つけるかもしれないのだ。のみならず、その黒幕をますます潤わせてしまう。
何を信じるべきか。何が本当のリスクなのか。誰でも簡単に発信者になれる現在、情報はまさに玉石混交だ。
親世代が得てきた知識が今、あるいは10年後20年後子どもたちが大人になったときに、どの程度まだ役に立つかは非常に怪しい。それは自身が経験してきた過去を振り返ってみれば明らかだろう。
時代は変わり、常識も変わる。変化する世の中で何を見聞きし、情報をどう取捨選択し、行動してきたか。その実体験こそが、親が子に伝えられることに違いない。ぜひ新型コロナを機にご家庭で、親子で、会話を持っていただけたらと思う。
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