「毎日がつまらない人」が浪費に走る納得の理由 平凡な生活や内面の充実が今、重視されている

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つい他人と自分を比べてしまうけれど、本当に大切なのは、どのような人生を送りたいか、どのような人間になりたいかということ(写真:Rawpixel/PIXTA)
私たちはつい、他人と年収を比べたり、社会的なイメージで就職先を選んだりしてしまいがちだ。しかし、あなたはほんとうはどのような人生を送りたいのだろうか? ほんとうはどのような人間になりたいのだろうか?
4000万人ものSNSフォロワーを誇る作家、ポッドキャスターのジェイ・シェティは、僧侶となるべく修行を重ねた経験をもとに、自分らしく生きるためのメソッドを紹介し、世界中から熱狂的な支持を得ている。
世界30カ国以上で刊行され、ニューヨーク・タイムズ・ベストセラー1位ともなり、8月に日本語版が刊行されたシェティの著書、『モンク思考』。
今回、本書がなぜ世界的なベストセラーとなったのか、日本人にとってもなぜ必読の書なのか、作家・ジャーナリストの佐々木俊尚氏に話を聞いた。その前編をお届けする。

ストア哲学的「怒り」のコントロール

『モンク思考』では、「ネガティビティ」について書かれた章がありますが、これは古代ギリシャで流行ったストア哲学と非常に似ています。

『モンク思考:自分に集中する技術』特設サイトはこちら(書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします)

ストア哲学の中心的な考え方は、自分のコントロールできないものは手放し、コントロールできるものだけに力を入れなさいというものです。

たとえば、嫌な奴からひどい目に合わされて、腹が立ったとしましょう。しかし、いくら腹を立てたところで、そいつが嫌な奴であるという事実は変わりません。怒ったところで、相手には通じないでしょう。それならば、内面でムダな怒りを起こすのではなく、別の考え方をしようというのです。

「ああいう奴は信頼を失うだろう。だから、人に対してこういう嫌なことをしてはいけないということを、自分が学ぶ機会だったと考えよう。そうすれば、自分はより信頼を得られる人間になるし、長い目で見ればそのほうがメリットがある」

こんなふうに考えれば、あらゆるエゴに立ち向かい、克服することができるのだというわけです。自分の心をコントロールするところに立ち返るというこの姿勢は、『モンク思考』と非常に近いものがあると思います。

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