自分の思いと、どれだけ真摯に向き合えるか
「何度も言いますが、最終的に企業をよくするのも悪くするのも『人』なのです。そして、会社は徹底的に真摯に人と向き合うことが最重要事項です。そして、イケアはそれを愚直にやったからこそ、残れたのだと思うのです」
そして、泉川さんは、個人個人が、自分の望みの仕事、キャリアを得られるかどうかも、最終的には「その人次第」だと語る。
「私は、20代で最初の職に挫折して心が折れた。でも、今から思えばそれがよかったのだと思います。なぜって、自分は何を大切にして生きていきたいのか、何がモチベーションなのか、真剣に、自分と向き合って考えましたから。
そして、自分の価値観とはどんな価値観なのかがわかったからこそ、巡り巡って、価値観が合う会社に出会うことができたのだと思います」
これまで筆者は、「すべてはお客様のために」だとか「夢を大切にする」といった大仰な会社のビジョンや理念は、企業が営利を追求するという性質上、うそくさくて欺瞞の臭いがして、どうにも信用ならず、好きではなかった。
また、青春時代を過ぎてから、自分の大切なことは何か? モチベーションはといった価値観について、しばし、考えてもみなかった。
でも、泉川さんの話を聞いて、あらためて思うのだ。
自分が快適に幸せを感じながら仕事をできているときとは、なるほど、自分と価値観の合う人と仕事をしているときにほかならないな、と。
そして、それは仕事の内容以上に、重要だ、と。
今度、まだまだ続く職業人生を少しでもよくするために、あらためて、自分が仕事をするうえで大切にしたいことは何か?といった青臭いともいえる根源的な問いを、自分に投げかけてみること。そんなことも、もしかしたら必要かもしれない。
(撮影:梅谷秀司)
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