40代で花開く、新しいキャリアがある! イケア泉川さんの”奇想天外”なキャリアに学ぶ

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共に働く人の資質こそが重要だ――そう痛感した泉川さんに、前の会社の「高待遇」はさほどの意味を持たなかった。

だから、以前より給料が下がることも意に介さず、転職したのだという。

奇想天外な人材採用、福利厚生の真意

イケアが持つ確固たる哲学に見せられた泉川さんは、その哲学を日本法人の人材採用、人材トレーニング、そして日々のオペレーションに浸透させる作業に注力していった。

たとえば、泉川さんがイケアに移った翌年の2005年。最初に行った、イケア・ジャパンの新卒採用では、「履歴書不要、SPIなし、リクルートスーツなし」という異例の選考を行った。

「当時のイケアは知名度が低かったので、就活生の目を引くために本社があるスウェーデンの国旗カラーである青か黄色を身に着けてきてくださいとだけ告知してね。それで900人近くが来てくれました。

面接も、『人と同じである必要はない』というイケアの価値観にのっとって、『あなたの夢はなんですか?』とか『1億円もらったら何に使いますか?』といった質問を投げかけて、その人の内なる思い、価値観を引き出す工夫をしました。うれしいことに、この第1期生が入社7年目、8年目に入ってきて、マネジャーになってきているんです。『3年で3割辞める』といった現象も、わが社では起きませんでしたね」

日本での仕事と子育ての両立に苦労した経験から、従業員のワークライフバランスを充実させる制度や福利厚生も盤石にした。

「イケア・ジャパンは全世界のどの拠点よりも多い、『年間127日休日』にしました。日本における小売り業の大変で働かされるというイメージを払拭すると同時に、子育て中や介護中の社員など、多様性に富む社員の生活の質の向上と離職率の低下も達成したかったのです。

さらに、店舗にはダーディスという従業員の子ども用の保育園、そして12歳の子どもまで預かれる学童保育も用意。それも6時や7時なんて早い時間ではなく、お店が開いている夜9時まで預かれるようにしました」

今では、こうした施策の結果は着々と出ているようだ。女性従業員の愛社精神やモチベーションが高まった結果なのか、イケア・ジャパンの管理職の女性比率は、実に43%を超える。

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