40代半ばで、未経験の新店の店長に!
そして驚くことに、2008年には、人事部長である泉川さん自身が新三郷店のストアマネジャー(店長)に就任した。現場と人事サイドの意識の乖離を防ぐため、さらには新しい仕事に挑戦して成長したいとの思いからだった。
「450人の従業員を抱える店長と人事部長の仕事はあまりに違うため、普通、こんな異動はさせませんよね。でも、『アナタの可能性を信じるのでやってみろ』と言ってしまうのがイケアの面白いところ。それで、店長職に挑戦してみたら、これが面白かったー!」

事業用地を購入するところから携わり、従業員の採用、教育、オペレーションから売り上げの管理、すべてを任されたそうだ。
「これまた面白いことに、お店が建って、イケアの従業員が最初にすることは、自分たちのオフィス家具の組み立てなんですよ(笑)。そりゃあもうすごい数の家具を組み立てますから、大変なんてものじゃない。でもね。それがいいの。『同じ釜の飯を食う』じゃないけれど『同じ家具を組み立てた』者同士は仲良くなるからね。その後、同じ価値観を共有していくうえでも有効なのです」
後に、イケア・ジャパンの人事部長に復帰した後も、このときの「店長経験」は人事戦略を策定するうえで、たいへんに役立ったと言う。
「店長をやってみて、人はこの会社に勤めてよかった、うれしいという機会があればあるほど育つことを実感しました。そして、人事や管理職は、その機会を増やすことだと痛感したのです」
従業員がこの会社に勤めてよかったと思える機会を増やすため、イケア・ジャパンの管理職は部下の「アナタのここがダメだね」と指摘することは基本、しないそうだ。
「個人の改善すべきポイントは、あなたのグッドポイントはここだねと伝えたうえで、インプルーブメント・ポイントはここという伝え方をします」
さらに、従業員と会社の価値観のズレを防ぐため、そして、従業員のキャリアを向上させるため、今では1300人を超えるパートタイマーを含めた全従業員の「キャリア・ディベロップメント面談」も、毎年1回、2時間以上みっちり行うように徹底していると言う。
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