JR九州の「顔」787系、時代を超えたインパクト 斬新デザインと快適設備「九州特急」の概念確立

✎ 1〜 ✎ 25 ✎ 26 ✎ 27 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

JR九州では1988年、大型窓による展望と贅沢な車内設備を備えた783系「ハイパーサルーン」がJRグループ初の新造特急車両としてデビューしているが、4年後の787系の登場は、その存在感を薄れさせてしまうほどのインパクトだった。鹿児島本線の主役だった783系は早くもリニューアルされることになる。

一方、787系は九州新幹線開業前の大動脈、博多―西鹿児島間の花形として活躍する。さらに783系などとともに宮崎方面の「にちりん」や長崎方面の「かもめ」に投入されたほか、夜行特急「ドリームつばめ」「ドリームにちりん」としても運用され、幅広く利用者から親しまれることになる。

2004年3月に新幹線が新八代―鹿児島中央間で部分開業すると、「つばめ」は新幹線の名称となり、787系は博多―新八代間を走って新幹線と連絡する特急「リレーつばめ」に役割が変わる。これに先立ち4号車のビュッフェは普通車に改造された。

ビュッフェを改造した普通席(記者撮影)

現在でも天井の照明にビュッフェ時代の名残があるほか、座席の間隔もほかの車両の普通席より広く、リッチな気分が味わえる車内空間となっている。2005年以降はトップキャビンを廃止し、グリーン席のさらに上の「DXグリーン」が3席のみ設置される。2011年3月に新幹線が博多―鹿児島中央で全線開業すると「リレーつばめ」の役目を終えた。

いまもJR九州の「顔」

2020年秋には787系の1編成を改造した観光列車「36ぷらす3」がデビュー。九州全土をカバーする787系の特性を生かし、木・金・土・日・月の曜日別に5つのルートを設定していて、1週間で九州すべての県をめぐる形で運行している。ビュッフェは17年ぶりに復活。デザインは再び水戸岡氏が担当した。九州の在来線でいちばん新しい「水戸岡デザイン」の列車だ。

「鉄道最前線」の記事はツイッターでも配信中!最新情報から最近の話題に関連した記事まで紹介します。フォローはこちらから

名門列車の名称を復活させた787系が鹿児島本線に登場してから約30年。活躍の場は「みどり」「かもめ」「にちりん」「きりしま」と、特急が走る九州の交流電化区間のほぼすべてに及ぶ。在籍数は140両とJR九州発足後の新製特急車両でもっとも多い。怖いようにも愛嬌があるようにも見えるJR九州の「顔」は、ビジネス・観光両面で欠かせない役割を担い、きょうも走り続けている。

この記事の画像を見る(60枚)
橋村 季真 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

はしむら きしん / Kishin Hashimura

三重県生まれ。大阪大学文学部卒。経済紙のデジタル部門の記者として、霞が関や永田町から政治・経済ニュースを速報。2018年8月から現職。現地取材にこだわり、全国の交通事業者の取り組みを紹介することに力を入れている。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事