前代未聞「流れ星新幹線」、運行までの密着ルポ

一夜限りのイベント、リハーサルで大トラブル

JR九州が3月14日に運行した「流れ星新幹線」。カラフルな光線とBGMに合わせた演出が会場で披露された(筆者撮影)

JR九州がまた「前代未聞」に挑戦した。今回のチャレンジは「新幹線を流れ星にして、みんなの願いを叶えたい」というものだ。

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2021年3月14日、全線開業10周年を迎えた九州新幹線が一夜限り、光り輝く流れ星となって九州を駆け抜けた。「流れ星新幹線」と名付けられたこのイベントは実施直後から大きな話題になったが、いったいどのようにして実現に結びつけたのか。その裏側に迫った。

10周年の恩返し

「お祝いというより、無事に10周年を迎えることができた、突き抜けるような喜びと感謝を皆さまと共有したかった」。そう語るのは今回の「流れ星新幹線」の指揮をとったJR九州鉄道事業本部の宮﨑龍一氏だ。九州新幹線の全線開業日は2011年3月12日。この日は九州にとって運命的な日だったが、前日に東日本大震災が発生。唐池恒二社長(現会長)は地震発生直後、躊躇なくすべての開業式典の中止を決断した。

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九州も自然災害との戦いが続いている。直近だけでも2016年に発生した熊本地震、度重なる豪雨災害など自社の鉄道路線をも寸断される災害が続いている。こうした背景やさまざまな困難に向き合う人が多い今、どういった形のイベントが実施可能か、宮﨑氏は頭を悩ませた。そんなとき、ふと頭に浮かんだキーワードが「願いごと」だった。

「数々の災害に見舞われた方々や新型コロナとの戦いで辛抱の日々が続く中、叶えたい、叶えたかった夢や願いごとが多くあるのではないかと考えました。そこで『流れ星新幹線』の発想が生まれました。10周年に関して、『何もしない』という選択肢も確かにあった。しかし、10年間多くの方々に支えていただいた恩返しを、今、可能な形で行いたかったのです」(宮﨑氏)

「流れ星新幹線」は乗客がいないため運行による収入は得られない。「流れ星新幹線」を見るビューイングイベントのほか、オンライン配信も実施されるが、いずれも無料で実施される。「目の前の収益も大事ですが、まずは沿線地域の活性化が結果的に鉄道利用や不動産、商業施設の利用促進につながるはず」と宮﨑氏は話す。

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