前代未聞「流れ星新幹線」、運行までの密着ルポ

一夜限りのイベント、リハーサルで大トラブル

いかに新幹線を流れ星にするか。車内をライトアップする方向で検討は続くが、新幹線という特殊な条件からかライトアップの協力業者探しに苦戦した。最終的に、福岡に拠点を置く総合イベント専門企業「am21」が賛同した。

「流れ星」となるのはJR九州が所有する800系新幹線車両。車体には事前募集の「願いごと」がラッピングとともに描かれている。願いごとは車内にも掲示され、車内外合わせて、選出された777の願いを乗せて走る。

応募総数は8350点にものぼり、選出にかかわらずすべての願いごとが太宰府天満宮に奉納された。今回のキャンペーンではコミュニケーションアプリ「LINE」のシステムを利用。ビューイングイベントへの参加申し込みやイベント会場への入場パスの発行、万が一のコロナ感染発生時の事態把握、および連絡を一括で行えるのがメリットで、LINE FukuokaにJR九州がアプローチ。このほか、JR九州と同じく地域創生に重点を置く西日本シティ銀行もサポート企業として協力している。

今回、車内には自在に光線の方向を調整できるムービングライトを28台、車内全体の調色を行うLEDパーライトが44台設置された。これらは通常のライブ会場で使う機器と同じものだ。ライト類などすべての電力を車内電源から賄うことができないため、併用電源としてUPS(バッテリー)も18セット搭載した。電力管理については車両負荷の観点から特にJR側が気にしたところで、「管理の厳密さを勉強させていただいた」とam21の担当者も話す。流れ星の演出は走行中のほか、途中4カ所で徐行運転、筑後船小屋駅そばの特設会場では会場前に約10分程度停車して、特別プログラムが行われた。

リハーサルで大トラブル

3月2日、この日は本番前最後のリハーサル走行が実施された。光を発するのは上り列車時の進行方向左側のみで、右側の窓はすべてシェードが降ろされ、さらに座席上に白布を引き、車内の光周りを良くしつつ、対向列車の運行を支障するような光が漏れないように工夫。さらに周囲への影響を考慮し、駅、市街地、トンネル内などではライトをまめに消すように計画されていた。

だが、ここに問題が発覚。鹿児島中央駅を出発したリハーサル列車は、ライトのスイッチングをするクルーが早々に現在位置を見失ってしまい、点灯するタイミングが不明確に。そのため、長い区間で消灯したまま走行する結果になってしまった。このほか、筑後船小屋のビューイング会場では会場に流れる音と、列車の光の演出をシンクロさせるパフォーマンスが計画されていたが、これも会場と車内とのやりとりがうまくいかず、タイミングがずれてしまった。

「真っ暗な流れ星新幹線」と「音のずれたパフォーマンス」。本番前最後のリハーサルとしては不安が残る夜だった。取材中、多くの関係者に話を聞いたが、「大変なことは?」と尋ねると、例外なく皆「全部ですね」と答えた。

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