「次の新幹線はどこに?」熱を帯びる誘致合戦 四国はJRも前向き、山形はフル規格化狙う
発進行!日本全国にはさまざまな種類の新幹線車両が走っているが、そこに新たな仲間が加わった。NHKの大河ドラマ「西郷どん」のラッピング新幹線だ。1月14日、JR博多駅で出発式が行われ、西郷隆盛役の鈴木亮平さんを乗せた列車が、ドラマの舞台である鹿児島方面に向け走り出した。
「テレビで見るだけではなく、旅に出て実際に体験してほしい。日本中の人に新幹線に乗って鹿児島にお越し頂きたい」と、JR九州の青柳俊彦社長は語る。2016年4月の熊本地震、2017年7月の九州北部豪雨で九州の観光業界は甚大な損害を被った。今年こそは年間を通じて九州に観光客を呼び込みたいという思いがにじむ。
新幹線が日本各地を結び付ける
まだ九州に新幹線が走っていなかった時代、博多―西鹿児島(現・鹿児島中央)間は特急「つばめ」で4時間近くかかった。しかし、2011年の九州新幹線全線開通後は最速1時間16分。新幹線のおかげで、九州エリアを一体的に観光することも可能となった。
新幹線は各地に観光客を呼び込む最強ツールだ。2015年3月に北陸新幹線が金沢まで開業した際の北陸観光ブームは記憶に新しい。首都圏での北陸人気にあおられ、新幹線のない関西圏―金沢の観光流動が増えるというおまけまでついた。2016年3月に開業した北海道新幹線は、道南と東北を結び付ける新たな役割を担う。
1964年に運行開始した東海道新幹線「0系」は日本の高度成長のシンボルでもあった。「新幹線が走ると日本のように経済が成長する」。高速鉄道導入を検討するアジアの新興国に対し、日本政府はこんなセールストークを展開する。その際に成功モデルとして決まって取り上げられるのが、北陸新幹線の佐久平駅。開業前は何もなかった場所にイオンモールをはじめとした大規模商業施設が集積する。休日には佐久市内だけでなく、周辺の市町村から大勢の買い物客が新幹線に乗ってやってくる。新幹線駅を核としたまちづくりの好例である。
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