「四国新幹線」の建設は必要不可欠といえるか

行政・財界は熱望、しかし住民にはあきらめも

四国最大の都市・松山の玄関口、JR松山駅。この街に新幹線が乗り入れる日はくるか(写真:BASICO / PIXTA)

今年3月、北海道新幹線が新青森~新函館北斗間を結び、北海道と本州、九州が新幹線ネットワークでつながった。一方で、日本の主要4島のうち唯一、新幹線が走らない四国では、じわじわと危機感が高まっている。

「四国新幹線」の構想は1973年に基本計画が策定されたが、着工の前提となる「整備計画」の策定に至らないまま、40年以上が過ぎた。「このままでは四国だけが置き去りにされる」という意識が、行政や経済界には強い。他方、住民サイドには「在来線も未電化なのに」と懐疑的な空気が漂う。財源や並行在来線の議論が進んでいないといった課題も多い。

それでも、3月に策定された国土形成計画・四国圏広域地方計画には、四国新幹線建設が検討課題として明記されるに至った。四国新幹線建設をアピールするロゴマークも5月に決まり、地元は着工を求める活動を本格化させつつある。

「四国に新幹線を」熱帯びる運動

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筆者は2015年9月、四国最大の都市・松山(愛媛県)を4年半ぶりに訪れる機会があった。JR松山駅に足を向けると、駅構内に「四国の新幹線実現を目指して」と記されたポスターが貼られている。予想はしていたが、地元の新幹線建設促進運動が熱を帯びていることをあらためて実感した。

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JR松山駅に張られた四国新幹線のポスター(2015年9月、筆者撮影)

その前年の2014年11月、筆者は函館市で中国地方のテレビ局のインタビューを受けていた。テーマは「四国に新幹線は必要か?」。開業間近の北海道新幹線の沿線事情を参考に、瀬戸内海を挟んだ対岸から四国の動きを検証する趣旨だった。

クルーは、北海道新幹線新函館開業対策推進機構と経済地理学会北東支部が同市で開いた「北海道新幹線地域活性化フォーラム」を取材し、筆者らの基調報告や公開討論の内容をカメラに収めていった。

事前に取材の相談を受けた時は、虚を突かれた思いだった。整備計画も決まっていない四国で、新幹線建設を求める運動が進んでいるとは……。北陸新幹線・敦賀以西のルート検討がようやく具体化する一方、北海道新幹線の新函館北斗~札幌間の完成が「2035年度末」とされていた時期だった。

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