東北新幹線の延伸で沿線都市が得た「果実」 観光業の活性化だけでは残念すぎる

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2010年12月に新青森駅まで延伸し、全線開業した東北新幹線

北陸新幹線が2015年3月14日に金沢開業を迎え、沿線は開業ブームに沸いている。さらに2016年3月には北海道新幹線が開業し、新幹線ネットワークがついに北海道へ到達する。

新幹線の開業効果といえば、やはり観光を始めとする経済効果が頭に浮かぶが、地元の意識や住民の暮らしに、新幹線はどんな変化をもたらしたのだろう。

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一足早く東北新幹線が全線開業した青森県の青森、弘前、八戸の3市で、筆者が2014年に行った調査の結果をみると、観光振興にとどまらない「人のつながりや地域力の向上」が起きているようだ。さらにそこから、ほかの新幹線沿線にも通じる「最良の新幹線対策は最善のまちづくり」というヒントが見えてくる。

最大の効果は人の連携

青森市で開かれた「新幹線フォーラム」=2015年1月

「八戸市にとって最大の新幹線効果は、人の連携だ」。筆者が2015年1月に青森市で企画・開催した新幹線フォーラムで、コメンテーターの塚原隆市氏は力を込めた。

八戸市内の会社社長を務める傍ら、地元コミュニティFM局の放送局長として故郷の変容をウォッチしてきた視点からの言葉には、強い説得力があった。

八戸市は青森県の東端、岩手との県境に近い太平洋岸に位置する。人口24万人弱ながら、近隣の青森市、盛岡市などの県庁所在地に匹敵する都市機能を持つ。商工業・水産都市としての歴史を有する半面、観光産業は影が薄く、2002年12月に東北新幹線が部分開業を迎えた際には、大きな課題となっていた。

加えて、東北のほかの主要都市に比べて全国的な知名度が低く、「岩手県八戸市と間違われた」「県外で『はっと』と呼ばれた」といった市民のため息が絶えなかった。

それだけに、新幹線開業に市民は勇み立った。当時の最新列車「はやて」の終着駅として名前が知れ渡ったうえ、貧相さが悩みだった八戸駅前一帯が装いを一新したことで、まちづくりへの機運が高まった。

観光面でも、現在は三陸復興国立公園に組み入れられた種差海岸の整備、早春の伝統芸能「えんぶり」のショーアップ、B-1グランプリに輝いた「八戸せんべい汁」のブレークなど、生活文化に根ざした資産を生かした活動が実を結んだ。

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