青森県の第三セクター・青い森鉄道(目時―青森間121.9km)は全国で最も長い並行在来線だ。2022年12月、開業20周年を迎えた。利用の少ない地方鉄道の将来像が揺れる中、地元自治体が線路を所有する「上下分離方式」を採用した運営形態が改めて注目される。
北海道新幹線開業の恩恵で一時は黒字化を達成したものの、コロナ禍により再び赤字転落を余儀なくされた。人口減少が加速する環境下、沿線の青森市や八戸市の中心市街地との連携が将来のカギを握る。
東北本線の青森県部分を引き継ぐ
青い森鉄道は東北新幹線・八戸開業と同じ2002年12月1日に産声を上げた。盛岡から北の東北本線がJR東日本から経営分離され、岩手県部分はIGRいわて銀河鉄道(盛岡―目時間82.0km)が、青森県部分は青い森鉄道(目時―八戸間25.9km)が引き継いだ。
沿線人口の少なさや輸送密度の低さから、厳しい経営環境が予想された。地元は、線路施設を県が保有して第三セクターが列車運行を担う「上下分離方式」を選択した。
「東北本線は主要幹線で線路や付帯設備も超一流、資産価値は高い。地元が頑張って第三セクター会社を設立し設備を譲り受けても、安定して運営できる見通しが立たない。『上下分離やむなし』という結論に至り、最後は当時の県知事が決断した」
青森県企画振興部(当時)の部長として青い森鉄道の設立準備に携わり、第3代社長も務めた小枝昭氏は証言する。
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