北海道新幹線「並行在来線」代替バス案の理不尽 地元バス会社は「話を聞いていない」と憤る

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余市駅最寄りの余市駅前十字街バス停と小樽駅前行の北海道中央バス(筆者撮影)

2022年11月、北海道庁は、2030年度末に開業が予定される北海道新幹線の札幌延伸に伴うJR北海道から経営分離により、廃止、バス転換する函館本線長万部―小樽間140.2kmについて、バスダイヤの方針案を公表した。

北海道新幹線の並行在来線がずさんなデータに基づいて鉄道の廃止、バス転換が決定されたことについては、2022年6月8日付記事(北海道新幹線「並行在来線」理不尽な廃止の裏事情)でも触れたとおりだが、近年、ドライバー不足などを背景にバス路線の減便や廃止が相次ぐ中で、特にコロナ前の輸送密度が2000人を超えていた余市―小樽間について道が約束した通り本当に鉄道と同程度のバスの輸送力を確保できるのか関係者から疑問の声が上がっている。

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声を上げ続ける余市観光協会

道が示した方針案では、バス路線を長万部―黒松内、黒松内―倶知安、倶知安―余市、余市―小樽間に4分割し、特にJRの輸送密度が高い余市―小樽間については現行のJRと同等以上を確保する一方で、長万部―黒松内、倶知安―余市については減便し、一部についてはデマンド型交通で補完をするという内容であった。

しかし、余市―小樽間のバスダイヤ案については「既存のバス路線の便数に少し手を加えただけで事実上の減便となっている。当初、道が約束した鉄道と同程度以上の利便性の確保とはかけ離れた内容だ」と憤るのは余市観光協会会長の笹浪淳史氏だ。

道が発表した案によると、余市―小樽間については現行のJRの便数と同じ本数のバス便を設定するとしながらも、鉄道代替便となる朝の便については塩谷・最上経由で小樽潮陵高校方面に直結する便となっており、これまでの小樽駅利用者にとっては大幅な所要時間の増加を伴う内容だ。

2022〜2023年の冬の観光シーズン以降、長万部―小樽間はインバウンド客を含めた観光客による混雑が常態化しており、笹浪氏が会長を務める「余市駅を存続する会」でもSNSを通じて定期的に列車の混雑状況を発信している。特に日中の倶知安から小樽に向かう列車の混雑が激しく、2両編成の列車はすし詰めの状態で余市駅に到着することも多々あるという。

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