北海道新幹線「札幌延伸」工期と費用で前途多難 北陸新幹線敦賀開業は1年遅れ、工費は2倍に
高さ8m、幅9.5mという巨大で暗いトンネルの先にまぶしい光が見えた。光の方角に歩き進むと、そこはトンネルの出口。手前には祝い事で使われる紅白幕や樽酒、さらに多数の折り畳み椅子が放置されていた。前日に地元の関係者を集めてトンネル貫通式が行われたという。その名残だ。
函館本線の長万部駅から函館寄りにおよそ10kmの場所にある国縫駅の近くで、北海道新幹線・国縫トンネルの建設工事が進められている。11月2日、その模様が報道公開された。
10月に貫通した「国縫トンネル」
2030年度末の札幌延伸を目指し新函館北斗―札幌間で建設されるトンネルは全部で17本。その中には長さ32.7kmの渡島トンネルや同26.2kmの札樽トンネルといった長大トンネルもある。国縫トンネルの長さは1.3km。比較的短いトンネルだ。
工期の開始は2020年1月。長万部から函館に向かって掘り進めた。「最近では1日に6mのペースで掘り進んでいた」と工事を担当する鉄道・運輸機構長万部鉄道建設所の竹村和晃所長が話す。以前取材したリニア中央新幹線の南アルプストンネルでは1日に3.6〜4.8m堀り進むということだった。地質や工法の違いもあり単純な比較はできないが、少なくとも難工事ではなさそうだ。掘削中に異常出水や崩落などの事故はなかったという。
今年10月13日に掘削が完了し、トンネルが貫通した。竹内所長は、工事の先端部分から20〜30m離れた場所でその瞬間を見守った。「午後1時30分、暗いトンネルの中に一筋の日の光が差し込んでくるのを見て、やりがいと達成感を味わった」。貫通の瞬間はトンネル工事の醍醐味だ。
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