四国4県と四国経済連合会、JR四国、四国運輸局などは2014年4月、四国新幹線の経済効果について、基本計画の「四国新幹線」「四国横断新幹線」、さらに「徳島~高松~松山」「岡山~高知」を組み合わせた案の計3ケースを検討した結果を公表した。試算によれば、基本計画の2線は費用便益比がそれぞれ「0.31」「0.59」となり、経済効果が事業費を下回る。だが、4県庁所在都市を結ぶ第3案は「1.03」と経済効果が事業費をわずかながら上回り、4県合わせて年間169億円の経済効果が得られるという結論が得られた。
新大阪駅までの所要時間は、徳島駅が95分(78分短縮)、高松駅が75分(29分短縮)、松山駅が98分(112分短縮)、高知駅が91分(104分短縮)と、大きな時間短縮効果が見込まれ、4駅相互の所要時間も劇的に短縮される。
四国4県と四国経済連合会がつくる「四国の鉄道高速化連絡会」などは2016年5月19日、高知市で新幹線建設を求めるシンポジウムを開催し、全国からの公募を経て決定した四国新幹線のロゴマークを発表した。これらの動きに足並みをそろえるように、JR四国は2014年3月、愛媛と高知を結ぶ予土線で、東海道新幹線の初代列車「0系」のデザインをまねた「鉄道ホビートレイン」の運行を始めた。
一方、国は1970年代から2000年代にかけて、四国新幹線の整備計画策定を視野に地形・地質調査を実施したが、2008年には実質的に調査を中断していた。しかし、2016年3月に決定した国土形成計画・四国圏広域地方計画には「四国の鉄道高速化連絡会により、四国圏における将来的な新幹線整備に係る基礎調査が行われているなど、鉄道の抜本的高速化が長期的な検討課題となっている」という一文が記載され、地元は大きな前進と受け止めている。
住民の期待は4割にとどまる
ただ、住民は必ずしも、四国新幹線に現実感を抱けない様子だ。筆者の友人知人に尋ねると「市民感覚で言えば夢物語。地元はいまだ気動車しか走っていない」(高知市の男性)、「電車もない徳島県では盛り上がりはない」(徳島市出身の男性)、「市民レベルの盛り上がりは皆無」(高松市の男性)、「ほとんど話題に上っていない」(松山市の男性)といった答えが返ってきた。筆者が松山市で言葉を交わした女性は、少数派なのかもしれない。香川県で地元紙と通信社が2016年3月に公表した合同世論調査の結果でも、新幹線導入を期待すると答えた人は4割にとどまった。
もちろん、住民との意識の落差は、旗を振る側も認識している。四国鉄道活性化促進期成会の事務局は「まずは新幹線について理解を深めてもらうことが重要。さまざまな機会を通じて広報活動に努める必要がある」と力を込める。
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