「次の新幹線」が実現するのはどの地域か? 官民一体で攻める四国、及び腰の東九州

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瀬戸大橋は新幹線規格で建設されている

北海道から九州まで、全国を貫く整備新幹線計画の完成が現実味を帯びてきた。

新青森―新函館北斗駅間が今年3月に開業した北海道新幹線は、2030年度の札幌延伸に向け札幌駅の新幹線ホーム設置場所をめぐって地元とJR北海道の間で交渉が進む。新型車両の開発遅れが表面化した九州新幹線・長崎ルートも、在来線と新幹線のリレー方式で当初予定どおり2022年度に開業する。残る北陸新幹線・敦賀以西ルートについてもルートや開業時期をめぐる議論が盛り上がっている。

では、これらの整備計画が完成した後はどうなるのか。以降は、新幹線の建設は打ち止めになるのだろうか。

整備に向けて活発に動く四国

新幹線計画は、現在進められている整備新幹線以外にも1973年に策定された「基本計画線」がある。その路線は旭川、松江、高知、大分など全国各地に及ぶ。整備新幹線の工事終了後は、毎年国が拠出してきた建設費用が宙に浮くので、その予算を「次の新幹線」のために使おうとする動きがあっても不思議はない。策定から40年あまり冬眠状態にあった基本計画が各地で目を覚まし、実現に向け動き出した。

中でも盛り上がりを見せるのが四国だ。行政が運動を主導する他エリアと違い、官民が一体となって活動する。将来の運営主体となるJR四国が新幹線導入に前向きなのも他のエリアとは異なる。

「新幹線がないのは四国だけ。四国に新幹線を走らせたい」と四国経済連合会の千葉昭会長(四国電力会長)は力を込める。2015年7月には都内で開催された世界高速鉄道会議にもブースを出し、海外にも積極的にアピールした。

1973年に策定された基本計画では、大阪から明石海峡を渡り、徳島、高松、松山を経て豊予海峡を渡り大分に抜ける四国新幹線と、岡山市から瀬戸大橋を渡り高知へ向かう四国横断新幹線の二つ。しかし、両案とも採算が厳しいことがわかり、両案の長所を組み合わせて岡山から瀬戸大橋を渡り、そこから高松・徳島、高知、松山という3方向に向かうという新たな構想を提唱する。概算事業費は1.57兆円。年169億円の経済波及効果が得られるという。瀬戸大橋は新幹線規格で建設されていることから建設費を抑えられるのは強みだ。

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