「次の新幹線」が実現するのはどの地域か? 官民一体で攻める四国、及び腰の東九州

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四国、奥羽越、東九州、山陰。どのエリアも新幹線の開業目標時期を具体的には明示していない。「まずは基本計画から整備計画への格上げに向け、調査費用を2017年度予算に計上するよう国に求めていく」(山形県)。国が調査してゴーサインを出さない限り新幹線は前に進まない。国の予算に調査費が計上されるかどうかは30~40年かかる新幹線計画の最初の一歩だ。

各地の新幹線導入運動には追い風が吹いている。政府・与党は成長戦略の目玉として、財政投融資をリニアや整備新幹線の建設に活用を検討するなど、国をあげて新幹線建設に前のめりになっているからだ。調査の結果、整備新幹線に格上げされる路線が出てくるかもしれない。

新幹線は地域をどう変えるのか

しかし、新幹線に詳しい青森大学の櫛引素夫教授は、「新幹線でなければ解決できない地域課題は何かを地元が整理し、認識を共有して対策を検討しておかないと、多くの人がかえって不利益を被ることになりかねない」と指摘する。

各地の新幹線導入をめぐる議論で問題なのは、莫大な費用を投じる新幹線建設が国と地域のありようをどのように変えていくか。このビジョンが見えてこないことだ。新幹線は生活環境や経済情勢をどう改善できるのか。単なる調査報告ではなく、地域住民の間でこの議論が深まらない限り、次の新幹線など絵に描いた餅にすぎない。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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