「次の新幹線」が実現するのはどの地域か? 官民一体で攻める四国、及び腰の東九州

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九州には開業済の鹿児島ルート、建設中の長崎ルートに加えて、博多―大分―宮崎―鹿児島という東側から九州を縦断する東九州新幹線と、大分―熊本間を結ぶ九州横断新幹線という二つの基本計画線がある。このうち、福岡、大分、宮崎、鹿児島の4県が導入を目指すのは東九州新幹線だ。開業すれば北九州―大分間は現行の1時間23分から31分へ、北九州―宮崎間は同4時間32分から1時間19分へと改善される。4県が先ごろまとめた調査結果によると、整備費用の総額は2.6兆円と巨額だが、九州全体で6兆円の経済効果があるという。

とはいえ、勢い盛んな四国や山形と比べると、旗振り役である肝心な自治体から意気込みが伝わってこない。大分県は「(県民の)9割くらいの皆さんが賛成となればそれでよいし、とんでもないという話になればそれでもよい」(広瀬勝貞知事)。

宮崎県の場合、福岡との往来は空路が最短ルートといわれるほど、本来なら新幹線を最も待望する県のはずだが、「(県内で)議論がそれほど盛り上がっていると感じていない」(宮崎県の河野俊嗣知事)。

根底にあるのは重い財政負担

そもそも4県は一枚岩ではない。福岡、鹿児島の両県はすでに新幹線がある。宮崎県内には東九州新幹線ではなく、既存の新幹線を使って熊本から延伸する、あるいは鹿児島―宮崎間のみ建設するほうが安上がりという意見もある。

及び腰の根底にあるのは厳しい財政事情だ。整備新幹線建設費用の公費負担割合は国が3分の2、地元が3分の1だが、交付税措置で地元負担はさらに引き下げられる。それでも、ある沿線自治体の担当者は「今でさえ県財政はひっ迫している。現行のスキームを変えて地元負担をさらに緩和してもらわないと無理」と打ち明ける。新幹線が開業すると在来線がJRから切り離される。地元自治体が運営を引き受けることになれば、その負担も重くのしかかる。

こうした計画のほかにも、大阪から鳥取、松江を経由して下関に至る山陰新幹線の実現を目指す自民党の議員連盟が今年5月に発足した。安倍晋三首相や谷垣禎一幹事長らが名を連ね、石破茂地方創生担当大臣が会長に就任するなど、こちらは政治家主導で進んでいる。

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