【産業天気図・建設業】大型公共事業はさらに削減、民間投資も鈍い、1年通じて「雨」へ

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10年4月~9月 10年10月~11年3月

 建設業界は2011年3月まで1年間通じて「雨」となる見通し。先行きに明るい兆しの見えない環境が続きそうだ。国と地方の財政悪化は深刻で、新規の大型公共事業は今年度予算でいっそうの削減が見込まれる。民間の設備投資も国内の工場・大型商業施設の計画が最小限度に絞られる懸念がある。

JR東海がリニア新幹線の着工を延期したように、複数のプロジェクトで計画遅延の動きが出ている マンションは建設再開の動きがあるが、リーマン・ショック以降に供給が払底した反動増に過ぎず、水準はまだ低い。割安な中古マンションや戸建て住宅に需要が流れていることもあり、建設業が薄利のマンションで業績を支えることは難しそうだ。

また海上土木各社は、国土交通省の大型コンテナ船向け新バースの整備計画に注目するが、実態は港湾関連予算総額を圧縮し同計画に集中投下するもの。海上土木の工事総量が増えるわけではなく、受注競争激化が懸念される。

このように、建設業界を取り巻く環境は総じて厳しくなっている。ところが、大手4社が発表した2010年4月~11月3月期の単体の受注計画は、鹿島<1812>が前年同期比14%増、清水建設<1803>と大林組<1802>が同11%増、大成建設<1801>が同8%増と、回復を見込んでいる。民主党政権の大幅な公共事業削減や、リーマン・ショック後の設備投資圧縮という異常事態が重なった前期からの反動増が見込まれるためだ。かつての水準に比べると低く、本格回復と言うには当たらない。また、各社が今期計画を策定した時期は、ギリシャなど欧州財政悪化といった海外のマイナス要素が加わる前。これらのマイナス要素を織り込むと、大手各社の今期受注計画は未達の公算が高いと予想される。

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