「未婚と既婚」に立ちはだかる「3.68人の壁」の正体 結局、何人と付き合えば結婚までできるのか?

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とはいえ、結果論として、いちばん最初に会った人が一番相性のよかった人である可能性も当然ありえますが、先のグラフで提示したように、世の既婚者の過半数が3.68人目以上の相手と結婚していることも事実です。婚活中の男女は、もし今まで3人との恋愛経験がある場合、次に付き合う人が運命の相手かもしれません。

だからといって、「結婚するためには最低3人以上との恋愛経験が必要」などという暴論を言うつもりもありません。50代既婚者でいえば、現在の配偶者以外恋愛相手はいなかった(最初の恋愛相手が今の配偶者)という既婚者の割合は男15%、女12%も存在します。

この全員がお見合い結婚だと断言はできませんが、50代の世代が20代だった1985年頃は、まだお見合い結婚率が18%ほどありました。一度も恋愛経験のない男女でもマッチングさせたお見合いというシステムがあったからこそ結婚できた人がいたとも言えます。

恋愛に「興味がない」という人もいる

このように見てくると、「金がないから結婚できない」という経済的な理由だけにフォーカスされがちですが、そもそも放置していたら今も昔も2割は恋愛をまったくしない可能性があり、お見合いのようなシステムがなければその2割はそのまま生涯未婚として残るという計算も成り立ちます。

恋愛したくてもできない層ばかりならば、それは何らかの手立てが必要かもしれませんが、そもそも恋愛というものに「興味がない・面倒くさい」という層が一定数存在すると考える視点も重要です。

「独身の9割が結婚したい」説の根本的な誤解』という記事で書いたとおり、未婚男女のうち結婚に前向きなのは男4割、女5割にとどまります。それは近年急に増えたわけではなく、少なくとも1980年代から30年間変わっていません。

自由恋愛というのは、「自由に恋愛できる」ということでもありますが、「恋愛しないことも自由」であることを意味します。お見合いというお節介システムが消えゆく現代、未婚化が進むのは当然の結果なのかもしれません。

荒川 和久 独身研究家、コラムニスト

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あらかわ かずひさ / Kazuhisa Arakawa

ソロ社会および独身男女の行動や消費を研究する独身生活者研究の第一人者として、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・Webメディアなどに多数出演。著書に『「居場所がない」人たち』(小学館新書)、『知らないとヤバい ソロ社会マーケティングの本質』(ぱる出版)、『「一人で生きる」が当たり前になる社会』(ディスカヴァー携書)(ディスカヴァー携書)、『結婚滅亡』(あさ出版)、『ソロエコノミーの襲来』(ワニブックスPLUS新書)、『超ソロ社会』(PHP新書)、がある。

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