雇用されない「保険募集人」は宝の山 ソニー生命OBがマッチングサイトを考案

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金融庁は2012年から保険募集販売ルールの見直しを進めてきた

インターネット経由で保険商品を顧客に直販する保険会社が急増しているが、主流は今でも対面販売。直販ではなく、代理店を経由した間接販売を行っており、消費者との接点になっているのは、代理店に勤務する募集代理人だ。その募集代理人を巡って、保険業界が揺れている。

きっかけは2014年1月16日、金融庁が「保険会社向けの総合的な監督指針」等の一部改正(案)を公表したことだ。同庁は2012年から保険募集販売ルールの見直しを進めてきたが、代理店の使用人要件を明確化する方針を決めた。

保険業法第275条は保険募集の再委託を原則禁止するとともに、同条第3項では認可を受けた委託型募集人は可能としている。しかし多くの場合、委託型募集人は代理店と募集委託契約を結ぶのみで、保険会社と代理店契約はない。

説明不足によるトラブルも

かつては保険募集人が新規契約をとることに注力するあまりに十分な説明を行わなかった事例や、不実記載や告知義務違反を教唆するような事例が見られ、保険会社が被保険者に保険金支払いを拒否するというトラブルも生じていた。

2013年6月7日付けで金融審議会「保険商品・サービスの提供等の在り方に関するワーキング・グループ」は「代理店と第三者の間に形式的に委託契約等の関係があることをもって当該第三者を使用人として届出を行い、適切な教育・指導・管理を行うことなく当該第三者に募集業務を行わせている可能性があるとの指摘がある」との報告書を提出した。そこで金融庁が調査してみると、一部の保険代理店で再委託禁止に抵触する者や使用人の要件を満たさない者を使用人として登録している実態が発覚した。

金融庁は2015年3月末までに生損保各社に適正化を求める予定だ。そうなると、代理店と雇用関係にない保険募集人については、廃業か、他の代理店に転職するか、自らが代理店を開業するかを選ばなければならなくなる。

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