メットライフが募集人情報流出の失態 「ほけんの窓口」の情報がライバル「みつばち」に

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顧客だけでなく、代理店の募集人の情報も保護される個人情報なのは、生命保険業界でも変わらない

7月18日夕、ある1枚のリリースが大手生命保険会社から出されていた。

「保険募集人情報の誤送信について」と題されたリリースがそれだ。自社のHPに掲載したのはメットライフ生命。保険代理店の募集(販売)人について、2270名の氏名、募集人登録番号、募集人コードなどの情報を、誤って送信してしまった、という内容だ。が、誤送信によって、情報を流出された代理店、情報を受け取った代理店の名前は、どこにも見当たらない。

実はメットライフのリリース発表より少し前に、被害を受けた代理店が別のリリースを出していた。来店型保険ショップの最大手「ほけんの窓口」グループだ。そこには、メットライフが誤って、ほけんの窓口の募集人情報をライバルの来店型保険ショップ「みつばち」保険グループに対し、ファイル送信してしまったと、はっきりと記されている。業界関係者の視線は一気に集まった。

誤送信したのはメットライフ

誤送信をしたメットライフ生命とはどんな会社か。2008年秋のリーマンショックの直撃を受け、当時、世界最大最強の保険会社と呼ばれた米AIGは、「アリコ」を売りに出し、それを買ったのが米生保大手の「メットライフ」。2010年のことだ。日本市場にも参入、今年7月1日にはそれまでの社名「メットライフアリコ」から、アリコを外した現社名に変更し、「メットライフ」のブランドへと一新。そうした矢先の出来事だった。昨年からメットライフ生命のトップを務めるサシン・N・シャー社長にも最悪のタイミングだったに違いない。

保険会社は通常、新商品を出す際に、販売を委託する代理店の募集人に対して、商品知識などの研修を実施する。全国に分散する募集人に、効率的な方法の一つとして利用されているのが、e-ラーニングだ。メットライフの研修部門の担当者が、そのときに得た代理店の募集人データを、別の代理店に流してしまった、というわけである。メットライフの説明によると、実に単純なミス。メットライフの担当者が、ほけんの窓口の募集人リスト(ファイル)をみつばちのファイルに上書きし、本来削除すべき、ほけんの窓口のデータを削除し忘れた、という。

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