メットライフが募集人情報流出の失態 「ほけんの窓口」の情報がライバル「みつばち」に
保険代理店業界の関係者によれば、この手のイージーミスは決して稀有なことでないという。通常は情報を流出された代理店と、情報を受信した代理店の間では問題にしない。ミスをした保険会社も、金融庁などから管理を厳しく問われる「顧客情報」と違い、募集人の情報についてはそれほど問題にしてこなかった、という経緯がある。今回の誤送信のようなお粗末なミスは、表面化することもなくこれまで済んでいた。
今回はなぜ違ったのか。問題が大きくなった背景には、ほけんの窓口とみつばちが、お互い“天敵関係”にあるという特殊事情もある。
ほけんの窓口を創業し、来店型保険ショップ最大手に育て上げた今野則夫氏は、消費税法違反(消費税の不正還付)で在宅起訴され、社長職も退任。その後、みつばち保険グループの大株主である光通信の顧問に就任し、古巣と真っ向から衝突しているというのは、業界周知の事実である。よりによって、募集人という代理店の販売力の根幹をなす情報を、ライバルに流されたわけだから、ほけんの窓口が怒るのも致し方ない。ましてみつばち側は、ほけんの窓口側から募集人を引き抜いていた、とも囁かれる。募集人情報が競合の手に渡り、悪用されないか、という強い危惧を抱くのは当然かもしれない。
謝罪に訪れたのは課長クラス
メットライフの研修担当者が誤送信したのが6月30日で、それが判明したのが1週間後の7月7日。誤って受信したみつばちから、メットライフが報告を受けたためだった。慌てたメットライフはみつばちに対し、誤送信したファイル情報の削除、データ転用の有無の確認、今後データを転用しない旨の確約を求める依頼など、ゆうに1週間を費やした。被害者であるほけんの窓口には、判明翌日の8日に電話で報告している。
7月11日には、メットライフの営業担当課長が顛末書を持参し、ほけんの窓口を訪れて謝罪。差し出した名前は業務部門のセンター長で、宛て先はほけんの窓口グループの窪田泰彦会長兼社長だった。一方、ほけんの窓口は執行役員などが対応し、原因究明や再発防止、社外への公表などを要求した。が、ほけんの窓口が納得できる回答は、この時点では得られなかった。ほけんの窓口側から、「本来、上長が来るべきではないか」と問われたメットライフの営業課長は「上長はいなかったから」と返答。これがほけんの窓口の怒りを、さらに大きくしたようだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら