アルフィー、「アナログ力」で次の10年も進化 顧客と仕事仲間をとことん大事にしていこう

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誰かに誘われて何となくアルフィーのコンサートを見に来た人のほとんどは、すぐにファンになり、そのままリピーターになってしまうようだ。

ここからビジネスの教訓が導き出せる。初対面の相手をどれだけ徹底的に楽しませることができるかで、人間関係が継続するか否かが決まる。

教訓:仕事仲間を大事にするから、成功できる

彼らは、ファンを大事にすると同時に、周りのスタッフを非常に大事にし、いつも感謝の気持ちを忘れない。学生時代にアルフィーのコンサートスタッフのアルバイトをした友人から聞いた話だが、1日だけのアルバイトに対しても通常のスタッフと同じように接し、決して「バイト扱い」をしなかったという。そんな彼らの人間性や姿勢が、周囲のスタッフや関係者を動かし、コンサートを成功させているのである。

アルフィーのコンサートは、照明や音響、ステージセットの質が高いと定評があるが、それらはこうしたスタッフたちによって支えられ、作られているのだ。日々進化を続けるアルフィーに並走するように、コンサートに新しい技術が取り入れられ、進化していく。

アマチュア時代から変わらぬ情熱が、ファンとスタッフを突き動かし、それがまたアルフィーのメンバーを駆り立てる。この連鎖が続く限り、アルフィーの進化は止まらないだろう。高見沢はかつて「夢はアルフィーとしてステージに立ち続けること」と語っていたが、ファンやスタッフとの良好な関係が、その夢をこれからもかなえていくはずだ。

デジタル時代こそ、アナログの価値が高まる

音楽業界の低迷が世界的に叫ばれ、CDが売れず、楽曲はダウンロードが主流になった。無料でコンサート映像も見られる時代だ。しかし、デジタル時代だからこそ、人と人とのつながりというアナログなものへの渇望が起こり、音楽の原点であるライブの価値が高まっていると思う。まさにアルフィーはデビュー40周年にして本領発揮する時代が来たのだ。

アルフィーがかくも長きにわたって生き残れた理由に秘策などない。泥くさく、古典的とも言えるような情熱や、人を楽しませたいという純粋な気持ち、周囲の人への感謝や思いやりが、彼らを第一線に押し上げ続けている。

もし時代に取り残されていると感じているビジネスパーソンがいるなら、これまで紹介してきた教訓をすべて思い返してほしい。最後は、人間力の勝負なのだ。

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