ローランドMBOに参画した米ファンドの本音 タイヨウ・ファンドCEOが語る、「ゲスト株主」の狙い

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来日したタイヨウ・ファンドのヘイウッドCEO(右)と、ローランドの三木社長
MBO(経営陣による買収)をめぐって揺れている電子楽器大手・ローランド。筆頭株主であるローランド芸術文化財団の理事長で、創業者でもある梯(かけはし)郁太郎氏が強く反対しているのは、投資ファンドがMBOに参画するという点だ。
今回、TOB(株式公開買い付け)を行うSPC(特定目的会社)に出資するのが米国のタイヨウ・ファンド。約7年前からローランドの大株主になっている。
これに対し、梯氏は「ローランドの作る楽器やシステムは何十年も経ってから評価されたり、売れたりするもの。短期的な利益を追求しなければならないファンドの人にはわからない」と主張している。
渦中のファンドとローランド経営陣は、この指摘についてどう考えるのか。来日したタイヨウ・ファンドのブライアン・ヘイウッドCEO(最高経営責任者)と、ローランドの三木純一社長に聞いた。

経営陣と一緒にやっていく考え方は不変

――タイヨウ・ファンドとしてMBOの仕事をするのは初めて。10年前にお会いした時、会社の方針について「ゲスト株主」という言い方をされていたが、それと比べると、かなり考え方や手法が変わったように見える。

ヘイウッドCEO MBOは確かに初めて。だが、考え方は、以前と何も変わっていない。マイノリティの株主として資本を入れる場合、普通のアクティビストのファンドなら、暴力的もしくは威力的な手法を用いて会社に影響を与えようとするが、タイヨウは最初からその2つの道具は日本で通用しないと思っている。

では、何が使えるのか。それは情報と分析、そして(他社との)比較。これらを経営者に持っていくと、マイノリティとはいえ真剣に話を聞いてくれる。ポイントは、コントロールしようとするのではなく、友好的なやり方で経営者に影響しようとすること。MBOという(初めての)手法だが、経営陣と一緒になってやっていこうという考え方はこれまでと同じ。

われわれは、三木さんの(経営者としての高い)能力がなければ絶対に(MBOという決断を)しなかった。彼の代わりに経営をしようとか、私がローランドの社長になろうという気持ちはまったくない。いい経営者をサポートして、よりよい会社にするためのお手伝いをするという点では、今までと何も変わらない。

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