ローランドMBOに参画した米ファンドの本音 タイヨウ・ファンドCEOが語る、「ゲスト株主」の狙い
そもそも、タイヨウは短い期間だけで買って、売って、儲けるという会社ではない。投資する会社には3つの条件がある。1つめは価格が安いこと。日本には安い会社が多い。2つめに独自の技術で、アドバンテージ(優位性)がなければ、興味はない。そして、3つめが経営者の素質だ。
ローランドを見ると、確かに株は安すぎる。それでも、なんだかんだずっと続いてきた会社だ。どうやって回復させるかということこそが問題だ。今回やりたいのは、価値のある会社は、もとの価値に戻るということの証明なのだ。
ほかの電子楽器メーカーと比べても、ローランドは音のサンプリング方法などで独自の技術を持っている。音楽のプロもそれを認めている。そういうものを作れるパッションは、ほかにはない。パッションのない会社はどんなに利益を出していてもいつか死んでしまうが、ローランドにはポテンシャルがある。
タイヨウは短期の利益志向ではない
――創業者の梯氏が反対しているという点はどのようにとらえていたか。
ヘイウッド 梯さんのことはすごく尊敬している。この会社ができたのは、彼が面白いことを考え、努力してきたからだと思っている。今回(のMBOに関して)も、理解してほしいと思っていた。われわれは、何も敵対的なことはしないのだ。
ただ、今は梯さんに経営の責任はないし、株も持っていない。より経営に責任を追っているのは三木さんだ。梯さんも理解してくだされば大変うれしいのだが。

――梯氏が反発するだろうということは事前に予想していたのか。
三木 身の丈に合ったサイズで経営すべきとか、非上場化した方がいいとか、そういう大きな方向性では、梯さんと現経営の考え方は一致していると思う。だが、具体的な方法をめぐっては、考えが異なる部分もあったのは事実。
今回のようにMBOを行うことは初めてだったので、梯さんがどんな反応をされるかはわからなかった。ファンドはすべて短期の利益志向と思われているのかもしれない。タイヨウは違うのだが。
――それをわかってもらうための対話は、どのように進めてきたのか。
ヘイウッド 彼に直接会って、説明した。3時間ずつ、2回会って話したが、そのときには反発をされたわけではなかった。ご理解いただけないのは残念だが、もう三木さんと一緒に頑張っていくしかない。それに、タイヨウは7年間株主であり続けているわけだから、「短期的な利益を求めるファンド」と(一緒くたに)言われるのは、ちょっと待ってほしい。
(撮影:今井康一)
ローランドの株価・業績 は「四季報オンライン」で
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら