ファンドの次もファンドを選んだスシロー 回転ずし首位の成長戦略

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2012年は投資ファンド傘下の外食企業の転売が相次いだ。9月には焼き肉「牛角」を展開するレックスホールディングスが、居酒屋大手コロワイドの子会社となった。12月には米投資ファンドのカーライル傘下にあるチムニーが東証へ再上場を果たし、出口戦略を探っている。未上場だが、「コメダ珈琲」を展開するコメダもアドバンテッジパートナーズから韓国系の投資ファンドMBKパートナーズへ売却の交渉が進められている。

こうした案件の中でも最大なのが、8月に日系投資ファンドのユニゾン・キャピタルから欧州系ファンドのペルミラ・アドバイザーズに転売された、100円均一回転ずし首位のあきんどスシローだ。スシローは02年9月期にはわずか売上高241億円、95店舗に過ぎなかったが、毎期20~30店程度の出店を続け、業績が順調に拡大。10年には「かっぱ寿司」(カッパ・クリエイトホールディングス)から業界首位の座を奪い、12年9月期は売上高1113億円、336店舗を構えるまでに至った。1店舗当たり売上高は年間3.3億円と、日本マクドナルドホールディングスの店舗の2倍超を誇る。

ただ、今に至る道は決して平坦ではなかった。1984年の設立以来、創業家主導でやってきたが、07年7月に創業家の一部が持株を牛丼「すき家」を展開するゼンショーホールディングスに売却。ゼンショーは08年3月までに発行済み株式の30%弱を握る筆頭株主となる。スシローは対抗するように同年9月にユニゾンと組み、公開買い付け(TOB)を実施。ゼンショーも最終的には持ち株を手放し、スシローは株式市場を去った。

ファンドの投資サイクルが一般に5年程度と言われる中、ユニゾンは12年8月に欧州系のペルミラに約10億ドルでスシローを売却した。再びファンド傘下で経営の舵取りをする、スシローの豊崎賢一社長の狙いはどこにあるのか。東洋経済では豊崎社長にインタビューした。

ファンドを受け入れ、彼らの強みを生かす

――今回、ペルミラと組んだ理由は。

5年前にユニゾンと作った「日本一、売上高1000億円」という目標は達成した。日本で一番のすし屋ということは世界で一番のすし屋だが、海外進出を始めたばかりなので、名実ともに世界一とはいえない。

今回、ユニゾンがイグジット(ファンドが株を売却して投資を回収する“出口”)を迎えるにあたっては、再上場するか、事業会社の傘下入りするか、新たなファンドの下でやっていくかという3つの選択肢があった。スシローとしては再上場も念頭に置きながら、何が一番いいのか、株式市場を見ながら考えた。

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