ファンドの次もファンドを選んだスシロー 回転ずし首位の成長戦略

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スシローは創業者が作った会社で、僕は会社をもっとよくするのが役割。経営陣が株をバーンと持ってMBO(経営陣による買収)、というのは頼めばやってくれたかもしれないが、プレッシャーのほうが大変。そういうことをするぐらいなら自分で商売をする。

今も会社に人生を賭けているつもりは全然ない。周囲にはいつも「いつか絶対に自分の店を持つぞ」と言っている。大きい商売をするつもりはないけど、小ぢんまりとした楽しい商売をしたい。

「原価率50%」を認めてくれたユニゾン

――ユニゾンとはどう協調関係を築いたのか。

ユニゾンはスシローの強みをちゃんと理解してくれた。スシローが創業した28年前から毎週末に顧客が行列を作ってくれる。こんな外食はほかにない。われわれの強みは商品力で、食べたらおいしい、ほかにないようなすしを100円で提供している。

売上原価には50%近い費用をかけている。ここを崩して、同業他社のように原価率を50%から40%に下げるというのは食材を変えるだけなので難しい話ではない。そうすると一時的に利益は出るが、差別化は失われる。それを「崩さずにやりましょう」と言ってくれたのがユニゾンだった。このことを理解してくれたというのはとても重要だ。

――同業の回転ずしチェーンが「どこも極洋(すしネタに強い水産品大手)から仕入れているので原価は同じはずだ」と指摘している。

確かに極洋から仕入れているエビやイカは変わらない。ただスシローは原価率50%という前提でやっている。同じエビやイカでも予算内でもっとよいものを使おうとしていることが差別化につながっている。

原価率50%を維持しながら、300店以上を展開する外食チェーンはほかにない。5~10店舗の個人商店ならできるが、大手でこの原価率はなかなか維持できない。二十数年前に「これをやるのが難しいし、誰もマネできないからここへ行くねん」といったのが創業者の清水だった。原価に50%使って上場している外食はどこにもないぞと。

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