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富も名声も長寿も手にした文豪ゲーテのうらやましすぎる人生…だがその裏に「一発屋」から抜け出せずに絶望する日々があった

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翻訳は頭木弘樹

ドイツの文豪ゲーテは、仕事を愛し、よく働いた。ヴァイマル版のゲーテ全集は全133巻143冊もある。なんともすごい仕事の量だ。しかも、ゲーテの仕事は書くことだけではない。ヴァイマル公国の宰相としての激務の日々もあった。「気分がどうのこうのと言って、なんになる? ぐずぐずしていて、気分がのってくるわけがない。一日だって無駄にしてはいけない」と書いている(『ファウスト』)。

NHK「ラジオ深夜便」の人気コーナー「絶望名言」に出演中の文学紹介者が、ビジネスと人生の“絶望”に効く名言を毎週お届けする。【火曜日更新】

大ゲーテとも呼ばれる世界的な有名人なのに、ゲーテの伝記映画は少ない。その理由は、人生があまりにもうまくいっているからだ。裕福な家に生まれ、社会的にも成功し、万能の天才で、長生きした。25歳で小説『若きウェルテルの悩み』を書き、ドイツだけでなく、ヨーロッパ中で大ベストセラーとなり、ナポレオンも愛読者だった。32歳のときに貴族に列せられる。ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテという名前の「フォン」は貴族の称号だ。父方の祖父は蹄鉄工で、父の代に大金持ちになり、さらにゲーテは貴族になったのだ。世界文学の最高峰ともいわれる『ファウスト』を82歳で完成させ、「これから先の私の命は、まったくの贈り物だ」と満足してから亡くなった。

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