【追悼】「生粋の無頼派」福田和也は何者だったか 「文壇の寵児」「保守論壇の若きエース」になり…
華々しくも、太く短い人生だった
福田和也が、63歳の若さで逝った。
年を取りにくく、しかも容赦なく老いとの戦いを強いられるのが現代人の宿命だ。それは近代日本にとって未曾有の、戦争のない約80年という歳月の報いなのかもしれない。
彼は才能溢れる文学者として、この宿命を自らの業(ごう)として孤独に引き受け、誰に追い抜かれることもなく、迅速に彼岸まで駈け抜けていった。
8歳年下の福田に、死の跫音(あしおと)が近づいていることを、私はかなり以前から察知していた。この間、激やせ廃人説から、復活待望論まで、様々な風評も耳に入ってきていた。
これはいけないと思ったのは3年前、『福田和也コレクション1 本を読む、乱世を生きる』(KKベストセラーズ)の書評(『週刊読書人』)を担当した時だった。
その本の帯文の最後に、「われ痛む 故にわれ在り」という不吉な一行があり、それが「あとがき」さえ書けなくなった彼の、ラスト・メッセージかと疑ったからである。
全3巻の予告のあった同コレクションは結局、この一冊が出たきりで続刊は途絶えている。
思えば華々しくも、太く短い人生だった。
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