ローランドMBOに参画した米ファンドの本音

タイヨウ・ファンドCEOが語る、「ゲスト株主」の狙い

――三木社長の能力を評価しているからこそ、MBOに乗り出せたということか。

ヘイウッド その通り。われわれは株主として7年間ローランドを見てきて、会社の強いところ、弱いところをほかの株主よりも深く理解してきたつもりだ。

(ファンドを始めて)約11年間で、私は1600社くらい(の経営者)に会ってきた。実際にこれだけ訪問すると、経営者の能力を見抜くことが一つの技術になる。社長にもいろいろな人がいる。能力のある人、口から生まれたような人、全然能力のない人。

三木さんと話をすると、問題を問題としてきちんととらえているとわかる。投資家としては、それにとても安心する。それで何も行動しないなら意味はないが、彼は有言実行。実際にアクションを取るという人だから、その点も尊敬している。三木さんだから、(MBOした後の経営も)成功できるだろうと判断した。

ローランドは置いていかれている

――三木社長がMBOをしようと思った動機は。

三木社長 4期連続の赤字を計上して、経営陣が変わってからというもの、さまざまな改革を行ってきた。たとえば製品開発では、ベンチャー的なチームを社内に作り、スペックやデザインの評価権限を大きく持たせた。クラブやライブハウス、スタジオなど、ミュージシャンの現場にどんどん行ってもらうようにもなった。

しかしながら、新製品は評判がよく、バックオーダーを抱えている中でも、シンセサイザーや電子ピアノ、ギターエフェクトなど稼ぎ頭の売り上げ減には歯止めがかかっていない。円安に助けられて5期目の赤字は免れたが、もし去年と同じ為替水準なら、売上高も利益も前年を割っていただろう。

一方でベンチャーを含め、競合他社の経営スピードが非常に早くなっている。ヤマハさんも構造改革をしつつ、成長に向けたM&Aにも積極的に取り組んでいる。ローランドは置いていかれている状態だ。

開発や販売などのオペレーションと、工場閉鎖や事業売却など今までやったことのない改革を同時に進めるのは、本当に負荷が大きいと、この1年で痛感した。即時開示義務など、上場企業としてのルールも重荷だった。今後は経営と資本が一体となり、「これをやるんだ」と決めたものを一気に、迅速に進める必要があるだろうと。

――MBOの後も三木さんが社長であり続けるのは間違いないのか。

三木 発表しているとおり、社長は私が続投し、役員は8人から6人にスリム化する。私を含め従来のローランド経営陣から3人、それからタイヨウから非常勤で1人。残り2人は「タイヨウが指名する有識者」となっているが、実際は日本の上場企業の経営経験者に、社外取締役として入ってもらう。

つまり、6人のうち5人は日本企業の経営経験者なので、ファンドに乗っ取られるとか、経営の自由度を奪われるとか、そういうこととはまったく違う。

――すかいらーくでは、MBO後に経営者がファンドに追い出されるようなことも起こっているが、そういう心配はないのか。

三木 はい。

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