コロナ禍という閉塞的な環境の中で学生生活を送らざるをえない今年の就活生にとって、「あなたらしい写真」を求められることは、無茶ぶりだと言われても仕方がないだろう。そんな作者の心の叫びが聞こえてくる、皮肉たっぷりなよくできた作品である。
自分らしい写真を撮ったり、学生のときにしかできない貴重な経験をしたり、なにより一生ものとなる学生時代の友人との密な時間を思う存分楽しめるよう、安全安心な社会が早く戻ってくることを祈るばかりである。
自治体による接種だけでなく、企業が行う職域接種や大学が行う学域接種など、日本でも徐々にワクチン接種の機会が広がり、早めの接種を急かされる一方、つらい副反応の情報も飛び交う中、接種のタイミングを決めかねている人も少なくない。
大一番のイベントを控えた就活生もそれに含まれる。副反応(副作用)の可能性を考えると、大事な面接が近い場合には、安易にワクチンを打つわけにはいかないジレンマがよく伝わり、自身と社会の動向をうまく捉えた作品である。
若者ほど副反応が強く出る傾向にあるという情報と、密状態の就活スケジュールを考慮すると、就活が終わるまでワクチン接種を回避するというのも賢明な判断なのではないだろうか。どうか安全に就活を乗り切ってもらいたい。
オンライン面接あるある
佳作をあと3作品紹介しよう。
オンライン面接に向けて、できるだけ印象よく自らを演出できるよう、綿密な機材セッティングをする学生自身の様子について、ふと我に返り気づいた滑稽さを、その道のプロである「YouTuber」に重ねて端的に表現した作品である。
一発勝負の面接で、オンライン環境による印象の悪化を避けたいという切実な思いから、照明の当て方や高画質カメラの選定など、真剣に取り組む学生の姿が目に浮かぶ。たとえYouTuberに見えたとしても、それも立派な努力であることは間違いない。
今や学生にとって、オンラインでの会話は日常的に行われており、プライベートにおいても対面でのコミュニケーションよりずっと多い時代なのかもしれない。友人との日常会話の場となっているオンライン会議ツールが、時には採用選考の面接の場に早変わりすることも多い。そんな中で生まれるちょっとした油断が、学生を窮地に追い込むこともある。そういった場面がうまく表現されている作品である。
名前表示が昨夜のニックネームのままになっていたとしても、これだけで不合格になることまずないだろう。ただ、「印象」を少しでもよくするためには、気を付けたい基本マナーである。
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