オンライン面接であれば簡単に答えられた内容でも、対面型となると話は別だ。無機質なPCのモニターに向かって話すのとはわけが違う。目の前には、すべてを見透かすような、眼光鋭い生身の人間がこちらを凝視しているのだから。
「最終」と「初」という、相対する単語を並べることで、作者の心の叫びが見事に表現された秀逸な作品である。今年は、最終面接だけは対面で実施した企業が急増しており、同じ境遇に陥った学生が他にもたくさんいたはずである。きっと多くの共感が生まれていることだろう。
続いて、優秀賞を紹介しよう。優秀賞には2作品を選出する予定であったが、基準に達した作品が1つしかなく、その代わりに今回は佳作を予定よりも多めに選出している。
面接に落ち続けて終わりの見えない就活を続けることで、もう就職できないのではないかと自分の将来に不安を募らせる中、いつも見ているYouTubeに思いを巡らせ、いっそYouTuberの道をと真剣に考えた時期があると作者。現実逃避を始めたくなるほどの作者の苦しみを、「YouTuber」という現実逃避の象徴と思われがちな職業を出すことで、端的に表現されている。
作者が望む「好きなことで生きていく」ということは、ある意味では幸せとも思えるが、好きなことが仕事になるつらさもあるだろう。大好きなYouTubeで気分転換しながら、悔いを残さない就職活動にしてほしいものである。
対面なのに「接続不良」?
ここからは、佳作に入選した作品をいくつか抜粋して紹介しよう。
最優秀作品と同じく、オンライン面接に慣れてしまっている中、最終面接だけ対面となることへの作者の戸惑いと面接現場の情景を、厳選した単語によりうまく表現した作品。オンライン面接であれば接続不良などと言い訳のしようもあるが、対面(オフライン)の場ではそうはいかない。
コロナ禍以前では対面が当たり前であったものの、今の就活生にとってはそうではない。オンライン面接とは比べ物にならない緊張感に包まれるようである。企業はそのことを十分に理解して、対面型の面接で学生が必要以上に緊張しないよう、温かいフォローをしてあげてほしい。最終面接の前に、選考を伴わない対面型での面談の場を設けることをお勧めしたい。
企業側の担当者は若手社員がよいだろう。対面型に慣れてもらうとともに、気軽に気になることを質問してもらうことで、オンラインでは伝わりきらなかった雰囲気や社員のタイプなども直に感じ取ってもらえることだろう。
ウェブ(オンライン)面接時の回線不良が、合否に影響するのではないかと不安を詠んだ作品。ネット回線不良という、自分のコミュニケーション力に関係のない理由で会話が途切れ(タイムラグが発生し)、不当な評価を受けるのは甚だ理不尽であり、第一志望の企業での面接ともなれば、自身の未来にまで影響すると不安に思うのはしごく自然なことであろう。
面接に限らずオンラインでの会話ではよくあることである。採用担当者もネット回線不良には慣れっこになっている。焦らずに、回線が戻ったら落ち着いて改めて発言すれば、きっと大丈夫だ。
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