専門家が警告!暑い日の「塩分補給」に潜むリスク 熱中症対策でまず必要なのは水分なのになぜ?
熱中症対策として塩分補給をうたっている商品は数多くあるが、そのなかでもよく目にするのは塩の入った清涼飲料水ではないだろうか。複数の大手メーカーから発売されていて、“おいしい熱中症対策飲料”として人気が高い。
それらの商品パッケージやホームページを見てみると、「熱中症対策として厚生労働省が推奨している塩分量が入っている」といった文言が書かれている。どうやら、「熱中症対策に塩分補給」といっているのは厚生労働省のようだ。しかし、よく調べてみるとメーカー側のある仕掛けが見えてくるという。
確かに厚生労働省の「職場における熱中症予防対策マニュアル」では100ml当たり食塩相当量0.1~0.2gを含む飲料を推奨している。ただし、マニュアルでは作業環境など、さまざまな条件はあるが、基本的には暑さ指数が基準値を超えた場合や発汗時、また嘔吐や下痢などで脱水傾向にある場合に塩分補給をすすめている。
暑さ指数というのは、単純な気温だけでなく、湿度や日差しの強さの違いといったことも考慮した、熱中症予防のための参考数値。高いほど熱中症リスクが高くなるのだが、室内にいて冷房をつけていれば、マニュアルで塩分補給をすすめている条件になることはまずない。
おいしいからつい飲んでしまう
ところが、先述の商品パッケージやホームページには、暑さ指数のことが書かれていなかったり、発汗時だけでなく平常時にも適していると書かれたりしている。
「これでは、どんな場合も塩分補給したほうがいいんだと誤解する人がいてもおかしくありません」
しかも、日本人はもともとしょっぱいものが好きな人種。おいしいのでついつい塩入りドリンクを買って飲み、それを受けてメーカーも次々に新商品を開発……その結果、「熱中症対策に塩分補給」という認識がこれほど広まったのだろう。