「関西の私大」が学生増で存在感を増している事情

背景には大学の「危機感の高まり」があった

関西の大学が学生数を増やしている理由とは?(写真:taka4332/iStock)
少子高齢化や各種改革のなかで激変する大学――。その中でも近畿大学をはじめ近畿・関西地区の私大は学生数拡大に成功し、存在感が増しているという。川村稲造氏『新・大学序列』より一部抜粋し再構成のうえ、近畿・関西地区の大学はなぜ今、勢いがあるのか分析する。

「定員増加を考えている」大学の特徴

朝日新聞と河合塾が共同で行った「ひらく 日本の大学」というアンケートの調査結果が2011年度以降、継続的に公表されています。インターネット上でも見ることができますが、その中に面白いデータが出ていました。それは500校の私立大学法人に対して、「今後の入学定員をどのように考えているか」という中期経営計画の方向性を聞いたものです。

それによると「定員増加を考えている」と明確に答えた大学の比率は、入学定員3000人以上の大規模校23校中3校で13%。2000人未満の中小校でもほとんどが20%台前後でした。

一方、入学定員2000人台の大学グループ(つまり全学年人数規模として、その4倍程度である8000~1万2000人の大学)だけが、22校中11校で50%と突出した高い比率を示していたのです。

つまりこれは、「入学定員数を増やす」ことに対し「中規模の上ないし大規模の小クラス」の大学だけが積極的な姿勢を示したという、きわめて特異な事実の表れです。このデータからは、中途半端な規模の大学には経営への切実な危機感がすでに存在している、ということが言えるのではないでしょうか。

確かに、この先5年10年、もしくは20年先、これら中規模大学にとって、かつて経験したことのないような苦しい時代が始まるでしょう。そしてその事実が、当事者にははっきり見えていると思われます。なぜならば、これらの中規模大学はすでに、それなりの規模の設備的、人的資産を保有しているからです。

それらを運営維持するための固定費負担は高い水準にあり、またきわめて硬直的です。何百人という教職員の雇用維持の観点から、縮小均衡や人員削減への方向転換(ダウンサイジング)も非常に難しいと思われます。

しかも中規模大学が何より辛いのは、自校が直接競合する頭上の敵が、その地域で最強の大規模上位大学グループだということです。この数年で進んできた入学定員超過倍率規制の厳格化に加え、実際に18歳人口が減少していく中、従来の自校の受験者・入学者層のうち、偏差値が高い合格者ほど、上位校へ吸い上げられていくわけです。

中規模大学の志願者・合格者層への影響は、人数的にも質的にも深刻となるのは誰の目にも明らかでしょう。

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