聖火最終ランナー「大坂なおみ」だった必然的理由 開会式から見えた今回の東京五輪のメッセージ
そして、このオリンピックの開会式という世界中が注目する舞台において、聖火台の下で、被災地の子供から最後にトーチを受け取ったのは、大坂なおみ選手だった。
日本人の母とハイチ系アメリカ人の父を持つ彼女は、女子テニスでメジャー大会を何度も制している「世界的アスリート」である。
最近の「記者会見拒否発言」などもあり、注目度は非常に高い存在である。年齢も24歳と若く、未来へつなぐ世代であり、今大会で「金メダル」も狙える現役選手でもある。世界的に「発信する力」もあり、これ以上の適任者はそうはいない。
想像になるが、白血病から奇跡の復帰を遂げた、競泳の池江璃花子選手も最終ランナーの候補の1人だった可能性はあり、選出されていてもまるで不思議はなかった。ただ、池江選手は1年前に東京五輪が延期された際に、聖火の入ったランタンを掲げ、国立競技場に登場して世界にメッセージを送っており、この東京五輪開催に向けた一連のセレモニーにおいて役割をすでに果たしていた。
ひとまず開会式は、いつもながら入場行進とバッハ会長のスピーチで時間が「押した」ものの無事に終了した。
7月24日からは、アスリートたちによる競技が本格的にスタートする。
五輪モードは高まるが厳しい視線も続く
いったん競技が始まれば、開幕前に不安と不満を煽っていたテレビのワイドショーも、「感動の金メダル!」などと五輪モードに変わっていくだろう。これまで開催に疑義を唱えていたテレビ局や番組は、「バランス」に腐心することになる。
一方で、増え続ける新型コロナの感染者数は、オリンピックに影を落とし続けるだろう。
「開会式で感染」「チーム内の複数者感染、クラスター発生で辞退」という事案があれば「ほら、やっぱり」と言われるのは間違いない。
開会式はひとまず無難に終えた東京オリンピックだが、組織委員会の不透明で隙間だらけの運営は、大会期間中にも「各種の問題」が取り上げられる可能性は高い。引き続き厳しい視線を向けられることになるだろう。
そして開会式に関わった人物の「人選」などについても組織委員会には説明と総括が求められる。それができないのであれば、最終ランナーに大坂なおみ選手という「多様性と調和」をアピールした人選も、結局は「やっぱりポーズだったのか」と指弾されることになってしまいかねない。
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