被害額1000万円も「占い詐欺」にはまる人の共通点 スマホの普及でだまされる人が増えている

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「中には、ご家族がクレジットカードの明細をみたり、『最近メールばかり気にしておかしい』などと相談に来られる方もいらっしゃいます。しかし、その場合本人が詐欺にあっているという自覚がないため、説得をしなければならないケースも。また、『今、とても運気がいいのに、ここでやめたら宝くじが当たらなくなりますよ』などと言われると、途中でやめられないと感じてしまう人もいるようです」

悪質サイトを摘発するのは難しい

もっとも、自分や家族が詐欺に気づいたとしても、弁護士事務所に相談するケースは一握りだと鎌田弁護士は見る。多くの人が泣き寝入りをしているのならば、悪質なサイトを摘発できないのだろうか。

メールやチャットによる占い詐欺では、鑑定を止めようとすると、引き止めるメールが来る(写真:トライアンフ法律事務所提供)

現状、トライアンフ法律事務所では、被害者から相談があった場合、まず被害内容を聞き、相手側に弁護士が入った旨書面を送る。課金内容のやり取りなどを確認し、メールや電話で返金交渉をする。示談が成立し、全額返金されるケースもあれば、一部の場合もある。運営会社が海外に移転しており、所在がつかめない場合は返金交渉自体ができないというケースもあるという。

示談が成立した場合、弁護士事務所には守秘義務があるため、運営会社を公表することはほぼ不可能。また、鎌田弁護士によると、詐欺行為を働く運営会社は社名を変えたりサイト名を変えたり、あるいは海外に移転するなどして特定するのも難しい。

占い詐欺は刑事告訴をするような案件ではないし、警察が動くケースはほぼない。運営者側が示談に慣れているともいえる。

「返金請求するには、課金やメールの履歴を残しておくことが必要です(それがない場合でも交渉は可能)。しかし、もっと手前で自衛するには、悪質なサイトだと気づくことです。不安をあおってくるようなことを言われたり、鑑定の期間が曖昧、こちらの質問に的確に答えない、何度もメールを送らせるなど、いくつも特徴があるので、そういうサイトには関わらないようにしましょう。そして何より、うまい話には乗らないこと。欲が深い人ほど、占い詐欺にあいやすいとも言えます」

最後に、鎌田弁護士ご自身は「占い」をどう思うか聞いてみた。

「占いと言ってもさまざまで、星占いのようなものもあれば、茶柱が立って喜ぶこともあります。占いそのものを否定するつもりはありません。自分で迷ったときの指針にしたり、いい方向に考えるきっかけになるような活用の仕方はいいのではないでしょうか。どの時代も詐欺はなくなりません。人の欲に付け込み、お金を搾取しようとします。それは占いに限らず、最近では、出会い系、支援副業、投資詐欺など数多くの詐欺が横行していますので、簡単に儲かるおいしい話は存在しないと思った方がいいです」」

島田 ゆかり ライター

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しまだゆかり / yukari shimada

月刊誌・企業広報誌などの編集を経て、フリーランスのライターに。寺社好きが高じ、お寺業界の様々なトレンド、裏事情などを取材、発信。ほか、女性のライフスタイルなどの企画・編集・執筆も手がける。

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