日テレ藤井アナの「相手に届く」アドバイスの流儀 思ったことをすぐには言わずに「寝かせる」

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ただ、その下書きの内容自体はシンプルにダメ出しです。
実際、ノートにはむき出しの言葉が並んでいますが、それを寝かせ、もう一度読み返します。

例えば「語尾が下手」という言葉を書いたとします。

これは「ニュースの語尾の音程の扱いがうまくない」という意味ですが、こんな言い換えだけでも、相手に届きやすく変化しているのがおわかりでしょうか。

これをさらに寝かせてみると、もう少し届きやすい表現が浮かび上がってきますし、寝かせた分、自分も冷静になれて、別の言葉が生まれてきます。このタイムラグがとても大切なのです。

言葉の「変換ゲーム」を楽しむ

また、この作業をするうえで大切なのが、ネガティブワードの変換です。

私は常日頃から、ネガティブワードにはなかなかのエネルギーが詰まっていると感じていました。感情があふれてしまった表現ですから、多くのエネルギーを蓄えているはずです。また、裏を返せば前向きに言い換える余地が広がっているともいえるのです。

例えば「入社3年目でこのレベルではきつい」という言葉があるとします(この時点で後輩には言えませんね)。この言葉を「あと少しで3年目として十分なレベル」という言葉に言い換えられれば、後輩としても自分の現在地を理解できますし、アドバイスも届きやすくなります。

さらに、「3年目としては合格だが、目指すのは合格じゃないだろ?」と発破をかければ、勘のいい後輩は努力を加速させていきます。

また、こちらがアドバイスに時間をかけていることに後輩が気づいてくれるようになると、プライド全開だった後輩の表情が、明るく変化していきます。

こんな経験を何度もしてきました。生では苦い野菜も、油で炒め、火を通すと、深いうまみが生まれてくるようです。

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