中国鶏肉事件、ささやかれる"政府の陰謀説" 食品不正の泥沼、「外資の安心神話」は崩壊した

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中国の期限切れ鶏肉事件によって、「中国企業ではないから」という米国系飲食チェーンへの消費者の信頼が崩壊した(2014年、ゲッティー/zhang peng)

中国に行くと、マクドナルド、ケンタッキーフライドチキン、ピザハットなどの米国系ファストフード店の数があまりにも多いことに気づかされる。今の中国の都市住民は、日本人以上にジャンクフード漬けだ。それでも、「中国企業ではないから」という安心感が中国人の消費者には漂っていた。

しかし、今回の期限切れ鶏肉混入事件は、そうした「外資」への信頼までも徹底的に打ち砕くことになったようだ。今回の事件が今までの中国での「食品安全」問題と大きく異なっているのは、「被害者」も「加害者」も登場する企業のどれもが米国系中心の「外資」であったことである。

中国事業はOSIの生命線

事件を起こしたのは「上海福喜食品」という会社だが、福喜はあくまで中国名。実際は世界有数の食肉加工企業「OSI」のグループ会社である。OSIはシカゴに本社を置き、1909年に創業された老舗だが、ハンバーガー用のパテや鶏の胸肉などを均一サイズに成形して大量生産する能力を武器に、ファストフード産業のグローバル市場への拡大とともに成長した。現在はグループで従業員2万人を抱え、世界85カ国に販路を持っている。

特にマクドナルドとは兄弟会社と言っていいほどの密接なつながりがあり、長期にわたって、緊密な連携を保持している。日本マクドナルドが上海福喜食品から年間6000トンのチキンナゲットを輸入していたことは決して偶然ではない。

OSIの中国上陸は比較的早い時期だった。現在も同社の会長兼CEOのポストにあるシェルドン・ラビン氏は1980年代に自ら中国を視察したとき、その市場の潜在力に大きく心を動かされ、「どんな犠牲を払ってもかまわない。中国に来なければならない」と心に誓ったという逸話が残っている。

天安門事件の影響から欧米社会と中国との関係が冷え込んでいた1991年、OSIは中国に正式に進出。河北省に工場を作ったのを皮切りに、北京、上海、広州、天津、福建など7カ所に工場を開き、取引先もマクドナルド以外の米系飲食店へと拡大。中国における米系飲食店の躍進を下支えする役割を果たしてきた。

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