OSIの売り上げは、2012年には35億ドルだったが、2013年には60億ドル近くにまで成長している。中国地区での売り上げがOSI全体に占める割合は、半分に達すると言われている。つまり、近年の成長のうちの多くの部分が中国で稼ぎ出されていたということだ。今回の事件が、福喜食品の拡大路線が招いたひずみによって起きたとの分析も一定の説得力を持つだろう。
中国のマクドナルドから商品が一斉に消えたというニュースが流れたが、それもそのはず。すでに指摘したとおり、マクドナルドのあるところにはOSIがあり、チキン商品のみならず、バーガー類もOSIから入れているのだ。上海の福喜食品との取引を停止した中国マクドナルドが、次の供給先として指定したのが中国国内にある別のOSIグループの工場だったことが、マクドナルドがOSI抜きに成り立たないことを証明している。
管理の先進性という米国系の強みが崩壊
福喜食品から期限切れ鶏肉を卸されていたもうひとつの米国系大企業が、ヤム・ブランズだ。
中国の消費者にとって影響が大きいのは、マクドナルド以上にヤム・ブランズのほうかもしれない。ヤム・ブランズは中国では「百勝」という名称で、マクドナルドをしのぐ規模で飲食ビジネスを展開している。
中国ヤム・ブランズの傘下には、ケンタッキーフライドチキン、ピザハット、小肥羊(羊肉しゃぶしゃぶの店)など主要飲食チェーンが軒並みそろう。グループの店舗数は中国全土で6000店を超え、まさに中国ファストフード市場のトップランナー。日本ではケンタッキーやピザハットの存在感はそこまでではないが、中国ではどこの繁華街でもこの2つの飲食店の看板を見掛ける。
これらの米国系チェーンは管理システムの先進性を売りにしてきた。中国の消費者にとっても国内でさまざまな食品不正問題が発生したとしても、外国系のファストフードまでは「汚染」が及んでいないだろうと考えていたので、今や安心して食べられるものは何もないということが、消費者の偽らざる感想ではないか。
背後にあるのは米国系まで変質させる中国の「腐敗力」の大きさである。一部の報道では、上海福喜食品では2年前に、米国人の責任者から中国人に引き渡され、そこから不正が始まったとの指摘も出ている。ことの真偽はまだ定かではないが、中国において「現地化」を進めるほど、悪い意味での「中国化」というチャイナリスクを招くことをあらためて証明した形だ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら